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メキシカンリーグ挑戦を発表した元楽天の安楽智大がパワハラ問題に言及した発言にSNSやネット上で非難が殺到(写真・黒田史夫)
メキシカンリーグ挑戦を発表した元楽天の安楽智大がパワハラ問題に言及した発言にSNSやネット上で非難が殺到(写真・黒田史夫)

「パワハラを受けた側の気持ちを理解していない言い訳だ」なぜメキシカンリーグ挑戦が決まった元楽天の安楽智大のコメントがSNSやネットで非難され“炎上”したのか?

 

 安楽は、さらに「最後に報道されている内容につきまして真実と異なる点がいくつかあります。真実と異なる内容や憶測に基づいて、私の家族や身内に対する嫌がらせ、誹謗中傷等はどうかやめていただきますようお願いいたします」と訴えた。球団サイドは、安楽と被害者にヒアリングをした上で「平手打ち」以外のパワハラ行為を「ほぼ事実」と認定した。安楽からすれば、この“ほぼ”の部分にあてはまらない報道に対して、異議があるのかもしれないが、これらの訴えも一部のファンからは「反省していない」と受け取られた。もし認定されたパワハラ行為が間違っていたのであれば、法廷に“不当解雇”を訴える手段もあったし、間違った報道があるのであれば、名誉棄損で訴えることもできる。
 パワハラ問題は、今なお社会からなくならない。その根強い温床の部分が、この加害者側にハラスメントをしている認識が不足している問題にある。学校や会社では、研修などでハラスメントに関する認識を深める“教育”を進めているが、まだまだ啓蒙は足りない。今回、安楽の発言が、炎上騒ぎとなったのは、そういう社会が抱くハラスメントの問題に対する危機感ゆえだろう。
 安楽は、球団を解雇され、NPBの他球団での復帰はかなわないという社会的な制裁を受けた。だが、球団との関係が切れたため、再度、ハラスメントに関しての認識を深める“教育”などの機会は失った。
 SNSを炎上させた意見の中には「厳しい上下関係の部活動の中で野球しかやってこなかったような若者だ。野球や相撲など、ほとんど社会を知る機会がなく、いきなりプロスポーツに飛び込む若者には社会性を学ぶ機会が限られている。球団、NPBの事務局がこうしたことに取り組むべきだろう。 被害者がより早期に相談できる窓口作りとともに、野球関係者全体(選手だけではなく、指導者や寮長なども含め)に対する研修制度の充実が必要」という鋭い提案もあった。コミッショナー、球団、選手会が手を取り合って取り組まねばならない問題ではある。
 安楽はメキシカンリーグの強豪チームで再出発を決めた。多くのメジャーリーガーを輩出しているチームだけに新たな可能性が広がる新天地である。
「私自身、もう野球を続けるべきではないとも考えましたが、周囲の方々から絶対野球を辞めないでほしいと励ましていただきました。また、多くのファンのみなさまからも、このような私に対して『もう一度頑張れ、応援している』と言っていただきました。 そして、このたびメキシコシティ・レッドデビルズにて野球をする機会をいただけたこと、これらのことすべてに感謝し、もう一度真摯に野球と向き合い、皆様にまた応援していただけるよう、全力で精進してまいります」
 安楽は発表された文書の中でそう誓った。
(文責・RONSPO編集部)

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