今日決着!ダービー1番人気の皐月賞馬ロブチェンは「黒歴史」を跳ね返せるのか… 過去の勝率1割ちょっとの“死の8枠”に「逃げ馬不在」の展開不利
もちろんロブチェンはこれらの逆境をはねのけ、2冠を達成する総合力と資格、そしてスター性を十分に備えている。4戦3勝、うちGⅠ2勝。黒鹿毛の雄大な馬体、そのダイナミックなフォームに加え、卓越した自在性とレースセンスを備えており、逃げ一辺倒の馬でもない。
父のワールドプレミアは菊花賞や天皇賞・春を制したステイヤー。新種牡馬とあってサンプル数は少ないものの、豊かなスタミナを受け継いでいるのは間違いなく、血統面からは2400メートルへの距離延長はむしろ歓迎と言える。
仕上がりもいい。3着だった共同通信杯では坂路中心の仕上げだったことを反省。皐月賞では勝ったホープフルSと同じ調整法に戻しており、ダービーでもこの成功パターンを踏襲した。1週前に栗東CWコースで7ハロンからハードな併せ馬で負荷を掛け、今週は半マイルから上がり重点。併せ馬で800メートル51秒4、ラスト200メートル11秒2のタイムで気持ちよさそうに先行馬を抜き去り、疲れを残さない形にした。
管理する杉山晴紀調教師は昨年JRAリーディングトレーナーに輝き、今年も首位を独走中というだけあって、さすがの仕上げ。2020年にはデアリングタクトで無敗の牝馬三冠を成し遂げており、そのときコンビを組んでいたのが松山騎手だ。昨年はダービーに有力馬2頭を送り出すなど、頂点奪取へ向けた下地を確実に築いてきた。
手綱を取る松山騎手はデアリングタクト以降も数々の勲章を加え、36歳を迎えたいま、中堅ジョッキーとしてまさに円熟期を迎えつつある。ダービーは11度目の騎乗。その中には皐月賞馬アルアインでの5着やハーツコンチェルトでの3着があり、2020年からは7年連続で騎乗している。
過去のデータを紐解いても、ダービーを初制覇した騎手の年齢は30代後半から40代が圧倒的に多い。やはり大舞台で何度も何度も経験を積み、悔しさも味わいながら年齢を重ねることもこのレースには必要なのかもしれない。
松山騎手も「アルアインの頃とは気持ちの面で違いますね。思ったほど緊張しなくなりました。年齢的なものなのかな。自分ができることをするだけですから」と達観した境地を明かす。そろそろ「競馬の神様」からのご褒美があってもいいころだろう。
ダービーを前にするといつも思い出す金言がある。それは1997年にサニーブライアンが皐月賞を人気薄で逃げ切り、2冠に挑む直前に名伯楽、藤沢和雄元調教師から耳打ちされた言葉だ。
「皐月賞を逃げ切った馬は強い。フロックではないよ」
それは自身が調教助手として携わり1981年に2冠を成し遂げたカツトップエースでの実体験から出た言葉でもある。果たして5月最後の府中にどんなドラマが待ち受けているのだろうか。

