「王座を盗まれたという方が正しい」なぜランク1位の堤聖也はWBAベルトを持参したのか…王者の増田陸は「リスペクトをもって」受け止め「くたびれて見える」と反撃して3回以内KOを宣言
「U-NEXT BOXING.7 トリプル世界戦』(11月29日・両国国技館)の記者会見が14日、東京ドームホテルで行われ、WBA世界バンタム級王者の増田陸(29、帝拳)に挑戦する前王者で現在1位の堤聖也(30、角海老宝石)が世界ベルトを持参して「WBA王者」と自己紹介する異例の出来事があった。不可解な休養王座剥奪に対しての抗議とプライドを示した行動だが、増田も「リスペクトをもって」受け止めて、逆に「くたびれて見える」と反撃して3回以内のKOを宣言するなど負けていなかった。早くも前哨戦から白熱してきた好カードだ。

堤はカバンに入れて持参したベルトを置台と共におもむろに机の上に置いた。
そして「こんにちは。WBA世界バンタム級王者の堤聖也です」と挨拶した。
堤は現在世界王者ではない。昨年12月のノニト・ドネア(フィリピン)との激闘で負った鼻骨骨折の影響でWBAへ診断書を提出してアントニオ・バルガス(米国)との指名試合を回避。WBAは堤を休養王者としたが、7月31日のランキング更新で、なぜかその休養王座も剥奪されランキング1位に降格した。それでも堤はあえてベルトを増田のそれの横に並べた。
「僕だけは認めたらダメ。僕だけは納得してはダメなんじゃないかという気持ち。表面上の肩書きとかそういう見えるものは変わっても本質的な部分は何も変わっていないと僕は思っている」
ベルトは「持っていこうじゃなくて必要なものだ」とカバンに入れた。
剥奪という言葉にも拒否反応を示す。
「奪われるのは勝負した時にベルトを奪われた時に使うもの。盗まれたというのが正しい」
そして正規王者の増田と、休養王者の堤との「統一戦」という気持ちか?と質問すると、その見方にも抗った。
「僕の防衛戦。 僕が怪我でできなくてこマッチメイクの都合上こうやってやることになった。選手は何も悪くないし、プロモーターも動かないといけないから仕方ないが、僕個人の考えだけでいくと、試合で怪我をしてできないだけで、なおかつこのぐらいの期間は全然あるだろうと。表面上変化だけで中身は動いていない。だから防衛戦の感覚」
堤は2024年10月に井上拓真(大橋)に判定勝利してベルトを奪取すると、昨年2月の比嘉大吾(志成)戦でドロー防衛、目の手術があったが、その後、ドネア戦もクリアして、まだ一度も負けていない。しかも休養王者とされた際にWBAは「最大60日間」の猶予を与えることを文書で明記していた、だが、なぜかそれも反故にされた。その理不尽な仕打ちが我慢ならない。
だが「怒りの感情はない」という。
「いろんな人が意見をするような状況になった中で負けるのが1番ダサい。そこだけですね。ここを勝たないと本当に嫌だなと」
王者として不敗のプライドがこの試合へのモチベーションに変わっている。
絶対にあきらめない”魂のボクサー”は、もう試合1か月以上前から無敵のメンタルだ。堤は増田とのツーショット写真の撮影でもわざわざベルトを取りに戻り肩にかけた。
一方、3月のノニト・ドネア戦で、堤が倒せなかったレジェンドにギブアップさせて、世界挑戦権を手にして、7月の王座決定戦で堤がドローに終わった比嘉に2-1判定で勝利して正規王者となった増田は「そんなことをしなくてもいいのになとは思いましたけど、盛り上がるならやってもいいなっていう感じですよね」と、その行動を横目で見ながらも、こう受け止めた。

