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無冠の堤聖也は会見が始まると持参したWBAベルトを机の上に置いた(写真・山口裕朗)
無冠の堤聖也は会見が始まると持参したWBAベルトを机の上に置いた(写真・山口裕朗)

「王座を盗まれたという方が正しい」なぜランク1位の堤聖也はWBAベルトを持参したのか…王者の増田陸は「リスペクトをもって」受け止め「くたびれて見える」と反撃して3回以内KOを宣言

 一方の増田はプロ唯一の黒星を喫した堤戦を「判定で負けましたけど自分の気持ちとしては負けを認めていない。気持ちで負けなかった試合なので、あの10 ラウンドの続きをこれからできるんじゃないか」と振り返った。
 だから増田はこの再戦をリベンジではなく「リマッチ」と呼ぶ。
「気持ちの面でもボクシングの面でも進化した姿を見せたい」
 すでにメキシコからWBA世界スーパーバンタム級8位のケビン・ゴンサレスと13戦無敗のホープであるダニエル・ヘスス・ガリドの2人を呼びスパーリングを開始している。
 一方の堤も増田が3年前とは違うことを十分に理解した上で「緊張感があり、幸せな」大橋ジムへの出稽古を敢行。長身サウスポーの元バンタム級ユース王者の坂井優太とのスパーリングを行っている。いかに増田が左を打ちこむ距離でボクシングをしないかというポジションを磨くには絶好の相手だろう。
 この試合の勝者には次なるビッグマッチ構想が待ち受けている。 
 ターゲットとするのは、那須川天心との再戦でダウンを奪われながらも3-0判定で返り討ちにしたWBC世界同級王者の井上拓真(大橋)との統一戦だ。
 増田が勝てば同門の天心の敵討ちのストーリーがあり、堤が勝てば2年前にベルトを奪われたリベンジに燃えるWBC王者との因縁の再戦となる。
 増田は会見で「これから先に目指す場所を意識して練習している」とも語ったが、例によって「それは試合に勝ってから発言したい」とぐっと押し黙った。
 拓真ー天心戦はトヨタアリーナ東京のリングサイドで見た。
「難しい試合だったと思いますね。再戦じゃないですか、あれも。(第1戦と)立場は変わって(相手が)チャンピオンと、王座決定戦では採点に与える影響にも若干変化がある」
 世界戦でのジャッジ心理が”学び”となった。今後も行事があるごとにベルトを持参するであろう堤がジャッジにそれを印象づければ、増田の正規王者のアドバンテージが薄くなる可能性もなくはない。それでも「やるべきことは変わらない。冷静に遂行するだけ」と言う。
 試合後、ダウンを奪った天心は「負けていない」とコメント。その判定と天心の言葉が物議を醸すも増田は遠慮なく自分の感想を言った。
「難しいですよね。天心サイドの席で見たのでだいぶ印象は変わると思うんですよ。後から映像で見たら、ここはこうだったのかというのもありますしね。でも妥当な判定だとは思います」
 一方の堤も増田と同様に「この先に色々見たい景色はあるけど本当にここ次第なんでね。いつ終わるかわかんねえからここだけはちゃんと勝ちたい」と、次については、語らなかった。
 前哨戦とも言える記者会見は、互いにリスペクトの念を持ちながら、プライドの火花が飛び散り、このタイトル戦への高揚感を高めるものになった。
 増田の”神の左”が初めて世界戦で炸裂するのか。それとも堤の”エンドレスファイト”が増田のフィニッシュブローを封じ込めるのか。戦いの構図はわかりやすいが予想は難しい。名勝負の予感がするのは筆者だけだろうか。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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