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5回失神KOも佐々木尽(右)が王者のノーマンにパンチを浴びせたシーンもあった(写真・山口裕朗)
5回失神KOも佐々木尽(右)が王者のノーマンにパンチを浴びせたシーンもあった(写真・山口裕朗)

え?もう?ウエルター世界戦で失神KOの佐々木尽が「スピード、パワーは通用。最終的には技術の差。覚えていけば勝てる」と記憶を取り戻して再起宣言…陣営は「王者の実力を見誤った」と猛省

 プロボクシングのWBO世界ウエルター級2位の佐々木尽(23、八王子中屋)が5回失神KO負けを喫した世界戦から一夜明けた20日に八王子中屋ジムを訪れて無事を報告し再起への意思を示した。佐々木は19日に王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(24、米国)に挑んだが、計3度のダウンを奪われて担架で病院に救急搬送されていた。中屋一生会長(46)は「我々がノーマンの実力を見誤った」と猛省した上で「世界王者と互角に渡り合える地力をつけていく」と今後の再生プランを明かした。

 「ノーマンはむちゃくちゃ強かった」

 佐々木は不死身だった。
 衝撃の5回KO負けで失神してキャンバスに大の字にのされた佐々木は、一夜明けた、この日、母親と共に八王子中屋ジムを訪れて「少し頭が痛いくらいだが、大丈夫です」と異常がないことを報告。その後、ジム内でYoutubeを撮影してジムの公式チャンネルに「佐々木尽からご報告」と題した動画をアップした。
「日本初のウエルター級チャンピオンになって歴史を変えようと思っていましたが、あと一歩というか、届かなかった。正直悔しい気持ちです。でも特に異常はなくくて、頭を打たれて記憶がとんだくらい。今は戻ってます」
 36年ぶりの国内開催となるウエルター級の世界戦が、佐々木にほれ込んだ大橋ジムの大橋秀行会長が「日本のボクシング界を盛り上げたい」との思いで実現したが、佐々木は、5回にノーマンの左フックを浴びてダウン。後頭部からキャンバスに強く打ち付けられたため、担架で運びだされて病院に救急搬送された。佐々木は、当初、救急車の中で「ノーマンって誰ですか?」と中屋会長に何回も問うほど記憶を失っていた。
 幸いCT検査では、脳内出血などの異常はなく、19日のうちに自宅へ帰宅。20日に再検査を行う予定だったが、「1ラウンドくらいまでの記憶が蘇る」ほどの回復を見せたため、再検査は後日に改めて行う予定に変更したという。
 動画の中で、佐々木は、「ウエルター級の世界の強さを感じた。ノーマンはむちゃくちゃ強かった」と、完敗を受け入れた上で、「自信は失っていない。スピード、パワーは通用すると思った」とポジティブに発言した。
「ノーマンは100のパワーをそのままぶつけるのがうまい。こちらは100あるものを20にされちゃう。そこでぶつかると、自分が弱く見える。最終的に技術の差を感じた。でも、これからやって(技術を)覚えていけば、全然、勝てるなと、体感で感じた。ものすごく深い学びになった」
 そう自己分析した。
 中屋会長はいくつかの誤算があったという。
「勝つ準備はしたが、結果的に完敗でした。ノーマンの実力を僕も父親も見誤っていたんです」
 中屋会長の父で先代会長の中屋廣隆トレーナーと共にノーマンを分析。ノーマンが隠すことなくすべてをさらけだした公開練習を視察しても「勝負になる」と踏んでいたが、「我々が考えていた以上にノーマンは成長していたんです」と中屋会長が“懺悔”した。

 まだ初防衛に成功したばかりのノーマンの実力をはかり間違えた。
「ノーマン選手が試合後の記者会見で言っていましたよね。尽ではなく自分自身のことに集中していたと。あの言葉がすべてなんです」

 

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