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阪神藤川監督のベンチワークのミスが流れを失う原因に(資料写真:Imagn/ロイター/アフロ)
阪神藤川監督のベンチワークのミスが流れを失う原因に(資料写真:Imagn/ロイター/アフロ)

阪神“失策サヨナラ負け”の裏に「流れを変えた」藤川監督の采配ミス…不必要だった重盗サインとサトテル三塁→右翼コンバートの影

 阪神がリーグ戦再開の初戦で逆転サヨナラ負けを喫した。27日の神宮でのヤクルト戦。阪神は相手のミスから3-0とリードを奪い主導権を握ったが7回にエースの村上頌樹(27)が並木秀尊(26)、ホセ・オスナ(32)の2本の本塁打で同点に追いつかれ、9回二死二塁から内山壮真(22)の三塁ゴロを途中出場の高寺望夢(22)が弾き、痛恨のサヨナラタイムリーエラーで勝ちベームを落とした。背景には流れを変えた隠れたベンチのミスがあった。

 守備固め熊谷への代打高寺が三塁を守って痛恨エラー

 降雨中断もあって雨に濡れた神宮の虎党が言葉を失った。
 3-3で迎えた9回だ。この回からマウンドに上がった及川は、先頭の途中出場の岩田にセカンドへの内野安打を許したが、続く並木のバントを自らの好判断で二塁封殺にした。だが、ヤクルトベンチは、続く武岡にも執念のバント。これは決められ二死二塁から、内山の打ち取ったかに見えた三塁の右を襲う打球を途中出場の高寺がバウンドを合わしきれずに弾いた。小幡のカバーも間に合わず、レフトへ打球が抜けていく間にサヨナラ走者がホームを駆け抜けた。
 スポーツ各紙の報道によると藤川監督は「使っているのはこちら。また明日顔を上げて戦ってくれれば」と高寺を責めなかったという。
 現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は、「高寺は足が動いていなかった。高寺は神宮で三塁を守ったことがあるのだろうか。球場ごとに人工芝の打球の跳ね方は違うし、雨でスリッピーになっていた。高寺を責めるわけにはいかないだろう。“使った方が悪い“という典型的なベンチワークの問題」と指摘した。
「ミスをした高寺の肩を抱き励ましていた佐藤の姿が印象的だった。三塁を守ってきた佐藤にしてみれば、痛いほど気持ちがわかるのだろう。だが、やはり三塁に固定していた佐藤のライトへのコンバートの影響がこういうところに出てきたことは否定できない。熊谷を早い回から守備固めで使うケースが目立つが、逃げ切ることができず、こういう展開となって、代打を送ることになると、プランが狂い、固めるはずの守備にほころびが生まれる」
 藤川監督は、6回に3-0でリードするとその裏から熊谷をヘルナンデスに代えて三塁の守備固めで投入。7回に並木のソロ、オスナの同点2ランでゲームを振り出しに戻されると、9回先頭の熊谷に代打高寺を送っていた。高寺は死球で出塁、この代打策は成功したが、その裏に高寺をそのまま三塁の守備につかせることになった。高寺は21日のソフトバンク戦で今季初めて三塁でスタメン出場しているが、途中出場も含めて三塁での出場はわずか4試合。しかも、今季の神宮で、オープン戦ではセンター、一塁を守ったことはあるが、三塁を守るのは初だ。
 守備優先で戦略を進める傾向にある藤川監督が最後はその綻びで敗戦を呼び込んでしまったのもなんとも皮肉だ。
 前出の評論家は「流れを変える隠れたベンチの采配ミスが他にもあった」とも指摘した。
 阪神は4回に無死一塁から森下の打席でエンドランを仕掛けた。森下の打球は三塁線へのゴロ。深い位置で捕球した武岡は一塁へ送球したが、間に合わないと判断したオスナは、三塁を狙う中野の走塁を見て、三塁へ送球したが、これがそれて悪送球となり、好走塁を見せた中野が先制ホームを踏んだ。 
 続く佐藤は四球を選び、無死一、二塁とチャンスを広げたが、大山のレフト前ヒットで本塁に突入した森下がホームでタッチアウトとなった。宮本―伊藤とつながれての素晴らしい中継プレー。前出の評論家は、「内野出身の宮本がクイックスローでカットマンの伊藤に送球したプレーも見事だったが、無死で好調で6番に打順の上がった小幡につながる場面。雨のコンディションを考えたのかもしれないが、大山の打球がライナー性で森下のスタートが遅れていた。無理して回すところではなかった」と、森下を突入させた三塁コーチ、田中内野守備コーチの判断ミスを指摘した。

 

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