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WBO王者のアンソニー・オラスクアガ(左)へ挑む桑原拓の肉体が凄かった(写真・山口裕朗)
WBO王者のアンソニー・オラスクアガ(左)へ挑む桑原拓の肉体が凄かった(写真・山口裕朗)

大橋会長が怒った!「このグローブはダメだよ」…桑原拓が挑戦するWBO王者オラスクアガが試合での使用を申請した異様な“鋼鉄”グローブにクレームをつけてWBOの立会人が異例の交換を指令

 プロボクシングのトリプル世界戦(17日・両国)の前日計量が16日、都内で行われ、出場6選手が一発でパスした。その後のグローブチェックで問題が起きたのがWBO世界フライ級タイトルマッチだ。王者のアンソニー・オラスクアガ(26、米国)が使用申請したグローブが米国ジャクソン製の、拳部分がまるで鋼鉄のように硬いものだったため、挑戦者の桑原拓(30、大橋)陣営の大橋秀行会長(60)が「このグローブはダメだよ」とクレームをつけ、WBOの立会人であるレオン・パノンシロ氏が、交換を命じてメキシコのレイジェス製グローブが使用されることになった。最強王者から世界ベルト奪取の奇跡を起こす準備が整った。

 

これが大橋陣営がクレームをつけたジャクソン製グローブ。アンソニー・オラスクアガは3月の京口紘人戦で使用していた(写真・山口裕朗)

 

 計量をパスした後のグローブチェックとルールミーティングを終えた大橋会長が、見慣れないグローブを抱えて部屋から出てきた。
「こんなグロ―ブを使おうとしたんだよ、ちょっと拳の部分を触ってみてよ」
 米国ジャクソン製のグローブ。そのナックル部分は、まったくクッション性がなく、まるでプラスチックのように硬く固まっていた。鋼鉄のグローブと言っていい。これで殴られれば、かなりのダメージを受けるだけでなく目の周辺をカットしやすいだろう。
「これはダメだよ、とクレームをつけた。WBOの立会人も、それを認めて交換を指令して、通常、使われているグローブになったんだけどね。その問題のグローブをプレゼントされたんだけど、ちょうどピンク色なんでサウジアラビアで尚弥に使わせようかな(笑)」
 大橋会長は、ジョークを交えて、そう内情を明かした。もしこのグローブを使用されていたらかなりのハンデだっただろう。
 2000年代初頭までは、世界戦では、両者が同じメーカーのグローブを使うルールだったが、現在では個人がスポンサー契約を結んでいる事情などもあり、規格を満たし、それぞれの統括団体が認めれば選手ごとに異なるメーカーのグローブが使用可能なルールになっている。
 ただし両陣営が了承することが条件とされており、グローブチェックでは、相手が使用するグローブを念入りにチェックする。2つ同じメーカーのグローブが用意され、“あんこ”と呼ばれるクッション部分の厚みや、手を入れた感覚が製品によって微妙に違うため、好みのグローブを選び、相手陣営が、それをチェックした上で不正ができないようにJBCが、試合当日まで封印し保管する。
 だが、この日は、そのグローブチェックで大橋会長が、「何これ?」と、その異常な硬さに気づき、交換を要求。すぐさまWBOの立会人がそのグローブを確かめた上で、そのクレームを認めて交換を指令し、オラスクアガ陣営も交換を了承した。
 グローブチェック時の交換は極めて異例だ。
 JBCは、こういう事態に備え、予備にメキシコのレイジェス製と日本のウイニング製のグローブを用意していた。オラスクアガ陣営は、ナックル部分が薄くパンチャーに最適だとされるレイジェス製を選んだ。一方の桑原は、日本のウイニング製を使用する。
 ジャクソンのグローブは派手なデザインが人気で、最近米国で広まっている新興メーカーで世界戦でも使用され、オラスクアガは今年3月の京口紘人(ワタナベ)とのV2戦でこのジャクソンのグローブを使っていた。この際は、今回のグローブのような異常な硬さは見られず、グローブチェックで、ワタナベ陣営もクレームをつけていなかった。拳部分が硬いが分厚いためナックルのパワーが伝わりにくかったのか、逆に京口を倒すことができずに判定決着となった。
 ハードパンチャーのオラスクアガ陣営がこのグローブを好む理由はスポンサー契約と関係あるのかもしれないが、ある関係者は、「あれだけナックル部分が硬いとカットが起きやすい。スタミナに自信がないのでパンチで流血させて、早期決着をつけようとして、京口戦ではダメージを与える効果はなかったが、そのグローブを選んだのではないか」と推測していた。

 

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