「井上尚弥と何が何でもやりたいというのはない」9.27モンスター正規王者のIBF暫定世界戦決定の西田凌佑の陣営がグッドマンに勝った後に描くプラン…9900万円を投じた壮絶入札劇の舞台裏
プロボクシングの「Prime Video Boxing 16」(9月27日、トヨタアリーナ東京)の追加カードの世界戦2試合が3日、都内で発表され、IBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦では、元IBF世界バンタム級王者で同級1位の西田凌佑(29、六島)が同級2位のサム・グッドマン(27、豪州)と対戦する。この王座の正規王者は4団体統一王者の井上尚弥(33、大橋)で2階級制覇を成し遂げると挑戦権を得るが、陣営トップの枝川孝会長(61)は「何が何でもやりたいというのはない」「フェザー級でやりたい」との考えを明かした。
「ポイントだけでなくダメージ与えて倒したい」
井上拓真と那須川天心の再戦のアンダーカードにファン待望の好カードが決まった。昨年6月のWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(MT)との統一戦で6回TKO負けしたものの、見せ場を作り、今年2月に階級をひとつ上げたIBF世界同級挑戦者決定戦でブライアン・メルカド・バスケス(メキシコ)に7回途中負傷判定勝ちした西田と、昨年1月に井上戦を目の負傷で2度キャンセルしたグッドマンの暫定世界戦だ。
JBCは「正当な理由のある」暫定世界戦は認めており、井上が来年2月まで防衛予定がないため、この暫定世界戦が決定した。
3つ揃いのスーツで会見に臨んだ西田は心に秘めた決意を表明した。
「復帰してから2戦目で世界暫定戦ですが、このタイトルを取れば、チャンピオンが返上したら自分が正規になりますし、しなくても正規チャンピオンと戦える可能性があると思っているので絶対取りたい。グッドマンは、結構バランスが良くて、どの距離でも戦えるという印象ですね。気持ちが結構強いなというイメージなので、自分も負けないようにしたい」
グッドマンは一発の怖さはないが、昨年8月にWBA世界フェザー級王者のニック・ボール(英国)に挑み判定負けを喫したもののその猛攻に耐えたフィジカルとタフさがある。足を使ったカウンターボクシングが主体だが、打撃戦もできるトータルファイターだ。
「どの距離でも自分が上回れるように練習をやっている。相手の出方によってしっかりとポイントを取っていきたいという気持ちと、チャンスがあれば倒したいなというぐらいの、強い気持ちは持っている」
枝川会長は「もしかしたら、とんでもないしょぼい試合になる可能性もゼロではない。もしくは打ち合いになるか。前に来てくれた方が好きやな。さばくのが特異。サバが突っ込んできたら、もう3枚にさばく(笑)」とのイメージを持つ。
技術戦になれば西田が一枚上。ポールは終盤にサウスポーにスイッチしてグッドマンを追い詰めたが、サウスポーが苦手なのかもしれない。グッドマンは要所で前に出てくるだろうが、そこでの対応が勝敗のカギを握ることになるだろう。
今回の暫定世界戦実現までに壮絶な舞台裏交渉があった。
筆者の質問に声マネで返して会場をなごませた枝川会長が明かす。
2月に西田が挑戦者決定戦を制し、グッドマンも4月の2位決定戦でロドリゴ・ルイス(アルゼンチン)に12回判定勝ちしたため、5月2日の井上と中谷の東京ドーム決戦が終わるとIBFから両陣営に暫定世界戦の交渉指令が届いた。交渉をスタートさせたが「向こうから無しのつぶてで何も返ってこなかった」という。グッドマンサイドは入札を希望。交渉期限内にまとまらず入札となった。
「何が何でもグッドマンサイドはオーストラリアで試合がしたいという思いやったんでしょうね。こっちでやったら西田に勝てないという考えがあったんじゃないか。でもこっちもオーストラリアでは勝つのは無理だと思っていた。この前の和田まどか選手の試合も、ローブローじゃないのに反則を取られて負けにさせられた。ああいうことが起こりうるわけやから怖かった」
豪州の隣国ニュージーランドで行われた女子のWBA世界アトム級挑戦者決定戦で、和田まどか(DANGAN)が、どう見てもルール内のボディブローをローブローと判断され減点され1-2判定で負けにされた。日本ではクリーンすぎるほどクリーンな判定が下されるが、海外では露骨な地元判定がまかり通っている。絶対に入札で落とさねばならなかった。

