「裏での不透明な謀略を二度と許さない」FIFA会長がW杯株式売却計画を撤回もUEFAらから止まない批判…「まるで007の悪役だ」…来年の会長選挙をにらみ方針転換も“再選”赤信号
FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長(56)が世界の過半数以上の加盟協会から猛反発を受けていたW杯事業の一部を株式化して投資家へ売却する計画を撤回した。だが、W杯のボイコット決議まで採択していたUEFA(欧州サッカー連盟)は続けて「裏での不透明な謀略を二度と許さない」と厳しい批判声明を発表、2027年の会長選に向けて早急に方針変換したものの再選が難しい状況に追い込まれた。対抗候補にはそのUEFA会長の名前などがあがっている。
「あらゆる意見に注意深く耳を傾けた結果…」
UEFAを筆頭にCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)、ACL(アジアサッカー連盟)などFIFAの211の加盟国のうち半数以上の143の協会から反対声明を出され、窮地に追い込まれたインファンティーノ会長がW杯事業の一部を株式化して、その20%を民間の投資家に売却するという計画の撤回を発表した。
「あらゆる意見に注意深く耳を傾けた結果、このプロジェクトは、支持の程度にかかわらず、当初掲げた目的にもはやかなわないほどの分断を生み出していることが明らかになった。私たちの目的は常に団結させ、改善することであり、それは今後も変わらない。その結果、この提案は進めないこととする」
複数の海外メディアが一斉に報じた。
当初、FIFAは、W杯などを運営する200億ドル(約3兆2600億円)規模の「FIFAフォワード・エンタープライズ」という会社を設立、その株式の20%をジョシュア・クシュナー氏が創設した投資家グループに売却予定だった。そのジョシュア氏が米国のトランプ大統領の娘婿の弟であることが問題視され、また各協会に9月19日までにこの計画に賛同すれば4000万ドル(約65億2000万円)を受け取れるとの“ニンジン作戦”も反発を食らった。
さらにFIFAの身内からも反旗を翻された。
2021年からインファンティーノ会長の右腕として活躍していた上級顧問のカルロス・コルデイロ氏が「サッカー界にとって悪い取り引きを黙って見過ごせない」と辞任。最高執行責任者のケビン・ラモール氏も「職員が騙された」と批判。この提案を「個人的プロジェクト」と表現し反対の立場を明確に示した。
さらに豪州サッカー協会のアンター・アイザック会長が「世界的に重要な提案は、十分な協議、適切なガバナンス手続き、加盟協会との実質的な対話を経てから、審議に付されるべき」と指摘するなど、そのプロセスが問題視され、インファンティーノ会長は、この計画を撤回せざるを得ない状況に追い込まれた。
インファンティーノ会長は計画撤回発表後にさらなる批判の声にさらされた。
この計画が強行された場合、2030年のW杯を含め、FIFA主催の主要大会をすべてボイコットする決議を採択していたUEFAは撤回を歓迎すると共に厳しい声明を出した。
「正体の分からない人物たちが、競技に利益をもたらすかも疑わしい計画を、短期間で秘密裏にまとめ上げるようなやり方をこのまま続けることはできない。誰が責任者なのかを明らかにし、その責任を問わなければならない。インファンティーノ氏が画策し、押し通そうとした、この裏部屋的な杜撰で不透明な取引は、透明性とは正反対のものだった」
そして今回の問題の徹底検証を行うことを宣言し、こう続けた。
「現在のFIFA執行部は、UEFAだけでなくサッカー界の多くの構成員からも信頼を失っている。FIFAの銀行口座に眠ったままになっている資金の一部を活用し、FIFA加盟211協会それぞれの草の根サッカーと競技全体に必要な後押しを行うべきだ。これはサッカー界全体の勝利である。しかし、これで終わりではならない。この提案は消えた。だが、FIFAへの信頼を再構築するという課題はまだ始まったばかりだ」

