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堤は2度ダウンを奪った(写真・山口裕朗)
堤は2度ダウンを奪った(写真・山口裕朗)

めちゃ強い“本物”だ!「勝負の世界に情けはいらない」衝撃2回TKO勝利の堤駿斗に「リヤドシーズン」日本大会のビッグオファー…WBA世界戦が実現へ

 プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦が14日、後楽園ホールで行われ、約11か月ぶりの再起戦となった同級4位の堤駿斗(27、志成)が、同級11位のフェリックス・バティスタ(29、ドミニカ共和国)に2回1分25秒TKO勝利した。堤は1回終了間際に気を抜き一発を浴び、さらにゴング後にも被弾。反則行為だったが、好機と判断したバティスタが勝負に来た2回に堤は打ち合い、2度のダウンを奪い、最後は怒涛のラッシュをしたところでレフェリーがストップした。堤陣営は、来年2月に日本で開催される「リヤドシーズン」日本大会から出場オファーを受けており、指名挑戦権を得たWBAの世界戦は、そこで実現しそうだ。

 1ラウンド終了間際に不用意な一発を浴びる

 「サラスさんがいたらブチ切られられてますよ」
 右目尻を赤くして控室に戻ってきた堤の第一声がそれ。今回は来日しなかったイスマエル・サラストレーナーからは、「自分のことは自分で守れ。最後まで気を抜くな」と口を酸っぱくして言われていた。
 1ラウンドの終了間際だ。ゴングとほぼ同時にフックを浴びて足がよろけ、その後も2、3発被弾した。
「足にくる感じはなかった。意識外のところだったので一瞬ふわっとした。やっちまったと」
 ゴング後の打撃は減点対象となる反則行為だが、堤は「注意力のなさ。上のレベルだと、流れが変わって、ズルズルいくこともある」と自戒した。
 2ラウンドにドミニカ人は、まだ堤にダメージがあると踏んでいきなりラッシュをかけて勝負にきた。
 堤は、離れてボクシングをしてその突進を回避することもできただろう。だが、堂々と打ち合いに応じた。
 ゴング後の打撃にむかついていたわけではない。
「ゴング前からくるぞ、くるぞ、必死に取りにくると、心していた。頭は冷静だった。ここしかないと、こっちも腹をくくって勝負に出た」
 下がらずガードを固めてバティスタの攻撃をブロックしながらカウンターのチャンスをうかがい、強烈な左フックでなぎ倒した。バティスタはコーナーに吹っ飛んでダウン。立ったが、堤は手を休めずさらにラッシュをかけて今度は右ストレートで2度目のダウンを奪う。
「勝負の世界で相手に情けはいらない。そんな甘い世界じゃない。長引かせたら、まぐれのパンチで流れが変わる可能性もある。このラウンドで終わらせたい」
 バティスタは、もう一度立ち上がってきたが、ロープを背負わせて怒涛のラッシュ。WBAは、3ノックダウン制だが、そのダウンを取る前にレフェリーがストップしてTKOを宣告した。
「もっと他の部分も見せたかった。中間距離からジリジリと削って、相手のやりたいことを防ぎ、ボディを効かせて5、6ラウンドから最後はたたみかける」
 そうプランを練っていたが、自らの不注意からまるで違う展開になった。
「勝負の世界は、想定外のことが起きる。それをキャリアに生かしたい。ここから世界に勝つにはまだ遠い」
 本人は反省していた。
 しかしピンチをチャンスに変えた能力は評価されていい。
 14戦(10KO)無敗の世界11位を仕留めたフィニッシュ力に、1ラウンドに見せた固いブロックの隙に打ち込んでいくセンスは、間違いなくトップスターになれるボクサーのそれだ。その闘志は1250人で埋まった聖地のファンを酔わせた。

 

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