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横浜DeNAの3番を任されている宮崎が左の太腿部に張りを訴えて5回の守備からベンチに下がった
横浜DeNAの3番を任されている宮崎が左の太腿部に張りを訴えて5回の守備からベンチに下がった

横浜DeNA「抜けきらない」ラミレス前監督時代の“負の遺産”…エラー連発“悪夢の5回”に大量6失点でソフトバンクに完敗

 前日の交流戦の開幕戦では、相手バッテリーのミスにつけこんで勝った。佐野をプロ初となる1番に大胆に抜擢して機能したが好守備もあって守り勝った。三浦監督も「田中コーチのノックの練習の成果が出ている」と評価していたが、この日は、ボーンヘッドが重なった。

 4回にもミスがあった。無死一塁から柴田がグラシアルの強い打球をグラブに当ててポロっと落としたのだ。併殺を焦った結果だ。嶺井が続く中村の送りバントを好守備で「2-5-4」とわたる併殺に終わらせてミスをカバーしたのだが、牧原にど真ん中のツーシームをレフト線に運ばれ勝ち越しを許した。ゴロピッチャーのロメロは、守りのミスに足を引っ張られる形となったが、そのミスを誘ったのは「得点した次のイニングが大事」の鉄則を守りきれなかったことにも起因している。

「そこがポイント」と三浦監督も指摘した。

 4回には先頭の柳田を歩かせ、悪夢の5回にも、先頭の1割打者、甲斐にど真ん中にツーシームを投げてヒットを打たれていた。牧の11号同点ソロで追いついた直後の大事なイニングである。

「自分のイメージした結果と違い悔しいです。練習あるのみです」とは、試合後のロメロの談話。

 ソフトバンクは絶好調の“恐怖の2番打者“の今宮が、新型コロナの濃厚接触の疑いで「特例2022」で登録抹消され、“ノーノー男”東浜も2回に関根の打球を左足首に当てた影響で3回で降板した。4回までの流れは横浜DeNAに傾きかけていた。パで楽天と首位争いをしているチームを相手に連勝の可能性もあった一進一退のゲームが終わってみれば大敗である。

 一昨年まで阪神で7年間コーチを務めてきた評論家の高代延博氏は「横浜DeNAは野球がまだ雑だ」と指摘していた。巨人、楽天、西武などで参謀を務めた新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏も同じく「DeNAはコーチ陣を変えて、なんとかこれまでの野球を脱却しようとしていて、試合内容がかなり変わってきているが、染みついてしまったラミレス前監督の野球が抜けきれていない部分がある」という分析をしていた。

昨季最下位に終わった三浦監督は、オフにコーチ陣を入れ替えてチームの改革に乗り出してきた。

 投手陣にはストライクゾーンでの勝負を意識させ、打者には、1打席、1打席の内容と、チームへの貢献を求め、実際、打線が線になりはじめ、ヒットがなくても1点を奪う野球ができ始めていた。守りに関しても基本を徹底。三浦監督も采配に“流れ”を察知することに神経を尖らせるようになった。

「毎日、どうすればいいかを考えている」

 この日は、2番に柴田を入れた。前日のゲームでは、佐野が無死から出塁した2度のチャンスを2番の神里が進塁打さえ打てずにいずれも三振に倒れていた。迷うことのない実行、対応のスピード感が、今季の三浦采配の特徴であり、その柴田は、打つ方では、立ち上がりに四球を選び、3回にもタイムリー二塁打を放つなど期待に応えた。  野球だから打てないときもあれば打たれるときもある。だが、高代氏、橋上氏が指摘するようにラミレス前監督時代にチームに染みついてしまった“負の遺産“が時折、顔を出す。「考えない野球」「集中力を欠くミスの連鎖」などが、その典型。

 そういう風土を変えるには、選手を大胆に入れ替えるのが手っ取り早い。故・星野仙一氏は、中日、阪神、楽天で、その手法を使ってチームに染みついた“負の遺産“を払拭していた。だが、横浜DeNAは能力のある選手や若い選手が揃っているだけに、そういう手法を取るわけにもいかず、人を変えず意識を変えようと取り組んでいるのだから時間はかかる。そして時折、顔を出すラミレス前監督の“負の遺産”を力でカバーするだけの戦力も整っていない。

 今日26日には新型コロナで戦線を離脱していた浜口が復帰登板。ファームでは、この日、同じく新型コロナでの隔離期間があった石田が6回を1失点に抑えて、怪我で調整中の3年目のショート森が存在感を示すなど明るい材料が出始めてきた矢先に、前日から3番に抜擢され結果を残していた宮崎が5回の守備からベンチに退いた。

「左ハムストリングスの張りが強くなった。いつ? 徐々にです。トレーナーからの報告があって無理させなかった」(三浦監督)

 先月23日に登録を抹消される原因となった“古傷”を再発した模様。交流戦は2シーズン連続で勝ち越し昨年は3位に入るなど横浜DeNAにとって反撃のシリーズだが、なかなか戦闘体勢が整わない。三浦監督は、また打線の組み替えに頭を悩ますことになりそうだ。

(文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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