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皇治対ヒロキングのエキシビションマッチへのJBCの対応も問題に
皇治対ヒロキングのエキシビションマッチへのJBCの対応も問題に

皇治×ヒロキング問題対応にラウンド数の間違いミス…失態続きの新生JBCも“ダメダメ”でプロボクシング界が再び分裂危機!

 JBCは、亀田裁判の敗訴や井岡一翔のドーピング疑惑騒動などの失態を繰り返して今年3月には財政が破綻、財団法人としての解散に追い込まれた。復活には2億円近い資金が必要で団体の存続が危ぶまれていたが、これまでJBCを支えていた東京ドームが支援に名乗りを上げて再び財団法人として復活することが決定。一連の問題の責任を取る形で永田有平理事長、浦谷信彰執行理事が退任、新理事長に東京ドームホテルの元会長である萩原実氏を迎え6月から新生JBCとして再出発していた。

 当初、JBC側の理事が多数を占め、協会側の意向を汲み取ることがなかった意志決定機関である理事会の構成メンバーを変えて健全化をはかり、新たに実行委員会を立ち上げて、ここを実質的な組織の運営機関とすることなどをJBCと協会側が協議して同意していたが、それらはすべて反故にされた。

 皇治対ヒロキングの問題に関しては、事実上容認することが4対3の強行採決で決められ、協会側の意見が反映されることはなかった。支援元の東京ドームから送り込まれてきた萩原理事長が、まだボクシング界のことがわからずリーダーシップを発揮することができず、不手際を繰り返した前体制で事務局長だった成富事務局長が実務の責任者として切り盛りすることになった。だが、亀田側との事前のやりとりでも、JBCルールの厳格な運用を指導することもできず、また前代未聞のラウンド数を間違えた山中の試合についても、連絡不徹底で責務を果たせないなどの失態を続けた。

 成富氏は、8月14日の亀田興行の際には、前日計量から現場に来ていたが、複数のメディアの取材に対して“逃亡“して真摯に対応しないなどガバナンスの整備がなされていないことを象徴するような、あきれた態度に終始。クロアチア国籍でクロアチアのライセンスを取得してボクシングの公式戦を行った総合格闘家の石井慧のパスポートの確認も現場にいるにもかかわらず職員に任せて自らは行っていなかった。

 現場サイドからは、「このままであればいつか事故が起きてしまう」との深い懸念の声が上がっており、この日の委員会でも、成富事務局長は協会側から「6回戦のファイトマネーは知っていますか?」と質問され「6万円です」と答えたが、「では8回戦、10回戦は?」と聞かれ「わかりません」と答えられなかった。

 ボクサーの置かれた現状を把握、“法の番人“として選手の健康、安全を守らねばならない組織の事実上のナンバー2が、この状況では、安心してボクサーをリングに上げることができないとの声が協会側から多く出ており、この日、JBCが今後、運営に不備が起きないように体制を刷新して対策を講じない限り、協会が独自で運営を行っていく用意があることを通告した。

 委員会の最後に萩原理事長は、「今後も一国一コミッショナーの体制を維持するために努力する」と返答したが、JBCは東京ドームが契約している顧問弁護士のアドバイスに従っており、もう独自での組織改編などの判断ができないほど硬直化してしまっている。

 結局、協会側との同意事項も反故にして、前体制と何も変わっていないのが実態で劇的な組織改革に着手するとは考えにくい。

 だが、協会側が抱いている危機感と“通告“は本気だ。

 JBCは、いったい誰のため何のために存在する組織であるのかということを自問して行動を起こさねば、二人三脚でボクシング界の発展に寄与せねばならない2つの組織が内部分裂するという最悪の道をたどることになりかねない。そもそも、JBCが定める評議委員会ではなく支援元の東京ドームがJBCの舵取りを行い、決定権を握っていることにガバナンスを含めて疑問が残るが、もしそうであれば東京ドーム側の責任者に見識のある決断を望む。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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