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FIFAのインファンティーノ会長が2026年北米W杯での大会様式の変更を検討していることを電撃発表した(写真:PA Images/アフロ)
FIFAのインファンティーノ会長が2026年北米W杯での大会様式の変更を検討していることを電撃発表した(写真:PA Images/アフロ)

異例の電撃発表!なぜFIFAは2026年北米W杯のGS方式を「3か国16組」から「4か国12組」へ変更しようとしているのか?

 11月20日に開幕したカタールW杯で、グループステージの第2戦までに決勝トーナメント進出を決めたのはフランス、ブラジル、ポルトガルの3チームだけ。残る13枠の行方は、11月29日(日本時間30日未明)に始まった最終戦の結果に委ねられた。
 しかも、最終戦は従来の開催方式通りに、AからHまでのすべてのグループで2試合が同日、同時刻のキックオフで始まっている。これが白熱ぶりに拍車をかけた。
 例えば日本が所属したグループEは、最終戦が始まった段階でスペイン、ドイツ、コスタリカを含めたすべてのチームに、決勝トーナメントへ進出する可能性が残されていた。
 そして、後半開始早々に日本が逆転に成功したスペイン戦で、森保一監督(54)は同時間帯で行われているコスタリカ対ドイツもにらみながら、選手交代のカードを切っている。
 万が一、スペインに追いつかれて引き分けてしまった場合、コスタリカ対ドイツが引き分けならば日本の決勝トーナメントが、どちらかが勝利すれば一転して敗退が決まる。
 DF冨安健洋(24、アーセナル)が投入された後半23分に、冨安を介してコスタリカ対ドイツが同点という情報がピッチ上へ伝えられた。一転してMF遠藤航(29、シュツットガルト)が投入された同42分には、ドイツが逆転に成功したという一報とともに、遠藤を介して「引き分けすらも絶対に許されない」という指揮官も檄にも近いメッセージも伝えられた。
 他にもグループFはベルギーとスコアレスドローに持ち込んだクロアチアが、グループHではポルトガルに勝利した韓国が勝ち上がっている。最終戦の手に汗握る試合展開を、開幕戦から可能な試合はすべて観戦しているインファンティーノ会長は目の当たりにした。
 7日に発表した中間総括で、インファンティーノ会長は平均観客数が5万人、全世界のテレビ視聴者数が20億人を超えたグループステージを「W杯史上最高」と高く評価した。特に最終戦が大きく注目された状況を受けて、次回W杯の大会方式の再検討に至ったのだろう。
 ただ、次回W杯の全体像がどうなるのかに関しては明言されていない。
 グループステージが3チームずつ16グループに分かれる場合は、上位2位までの計32チームが決勝トーナメントに進出する形となっていた。これならばカタール大会「4.5」から「8.5」へ大幅に増えるアジア大陸枠をはじめ、出場チーム数が現行の「32」から「48」に増えても、決勝まで進んだチームが最大7試合を戦う形は従来と変わらない。
 次回大会の決勝トーナメント進出チームに関して、インファンティーノ会長は各グループの上位2位までの24チームに、3位で上位に入ったチームが加わる可能性があると語った。具体的には3位の12チームのうち、勝ち点や得失点差などの順で上位8チームが進む形になるだろう。
 しかし、限られた期間のなかで、ただでさえ過酷な現状にさらに1試合が加わった、最大で8試合を戦うスケジュールへの是非が必ず問われてくる。 
 そこにはクラブチームの意見も加わってくるはずだが、インファンティーノ会長は質疑応答のなかで決意を新たにしている。
「この大会が終わりに近づいているからこそ、どちらがいいのかを再検討すると、私はこの場で言わなければいけない」
 4年に一度訪れるW杯を今大会以上に熱狂的で、世界中のファン・サポーターをさらに巻き込むビッグイベントにしていくために。現時点では決定事項ではない、次回W杯のグループステージ開催方法の再検討を自ら切り出したインファンティーノ会長は、FIFAのワーキンググループ内などの会議で、間もなく議題に上がるとトップの立場からあらためて明言している。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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