J3沼津の監督に就任した”ゴン”中山雅史氏はチームスローガンを自らの筆でしたためた
J3沼津の監督に就任した”ゴン”中山雅史氏はチームスローガンを自らの筆でしたためた

なぜ”ゴン”中山氏はJ1磐田を退団しJ3沼津の監督を選んだのか?

 退団を決めたタイミングで届いたのが、沼津からのオファーだった。
 育成部長などを歴任した鹿島アントラーズを昨年4月に退団。同12月に沼津の運営会社の代表取締役社長に就任した高島雄大氏は、新しいトップチームを委ねる監督像を「勝利への欲求がすごく高く、モチベーターであり、質の高いトレーニングを日々構築できる指導者」と定めた。議論を重ねた過程で真っ先に候補として挙がったのが中山氏だった。
 監督経験のない自分への不安はなかった、といえばウソになる。それでも中山氏は「高島社長の熱い気持ちに応えた、という形でしょうか」とオファーを受諾。磐田からの退団と沼津の監督就任が、ともに昨年11月13日となった舞台裏を明かした。
「高島社長からは『みんなで協力してサポートする』という言葉をいただきました。沼津には僕自身も選手として所属しながら、チームの勝利にまったく関われなかった悔しさもありました。自分の力がどれだけのものかまだわかりませんが、以前に自分が成し得なかった、沼津の力になることへチャレンジするのが一番なのかな、と思うに至りました」
 沼津では公式戦の出場はゼロに終わった。一方で2019シーズンからU-18チームのコーチを兼任。指導実績を積めたとして、S級ライセンスの取得につながった。中山氏にとって“恩返し”にもなる監督業で、まずはメンタル面からアプローチしていく。
 就任会見前に行われた新体制下での初練習を前に、新指揮官は「自分に厳しくいってほしい」と選手たちに檄を飛ばした。その意図をこう語る。
「戦っていく上で敵がいますけど、その前に自分たちのチームがあり、さらにその上に自分との戦いがあると思ってほしいと伝えました。個人のレベルでどれだけ強い気持ちを持って自分にアプローチをかけて、自分との戦いに勝った上で敵に挑んでほしい、と」
 昨シーズンのJ3リーグ戦で、沼津は18チーム中で15位に終わっている。深刻だったのは34試合における総得点で、リーグでワースト2位タイの「27」だった。
「データを見てもまず得点数が少ないし、シュート数そのものも少ないし、もっと言えば枠内へ飛んだシュート数も少ない。まだまだ足りない部分が多すぎるんですけど、ただそこだけをフォーカスしてもなかなか解決しないと思うんですよね」

 

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