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浦和レッズが名古屋グランパスが発表した対応の批判に対して反論した(写真は資料:西村尚己/アフロスポーツ※違反行為をした際のものではありません)
浦和レッズが名古屋グランパスが発表した対応の批判に対して反論した(写真は資料:西村尚己/アフロスポーツ※違反行為をした際のものではありません)

「信頼関係を失墜させる行為」…なぜ名古屋は浦和”暴走サポーター”の違反行為だけでなくレッズの対応を糾弾したのか?

 どれだけ告知を徹底しても、情報が行きわたらないケースは避けられない。開場時には混乱が生じていたと推察できるし、浦和側の発信が混乱に拍車をかけた可能性も捨てきれない。なかにはいら立ちを覚えたファン・サポーターもいたはずだが、だからといって違反行為は絶対に許されないし、ましてや名古屋が発表した暴力行為や威嚇行為は言語道断となる。
 浦和も公式HPを更新し、一部サポーターによる複数の違反行為と、クラブとしてキックオフまでに違反行為の中止や違反掲出物を強制撤去できなかった点を謝罪。そのうえで「各違反行為の行為者に対し、さらなる聞き取り調査などを含む事実確認を進め、入場禁止を含む処分の検討を進めてまいります」と今後へ向けた方針を発表した。
 ただ、警備員への頭突きや胸ぐらをつかむなどの暴力行為に対しては、浦和は「暴行と思われる行為を含む諍(いさか)い」という表現にとどめている。諍いとは「ちょっとしたもめ事や言い争い」を意味する場合が多い。さらに浦和は次のように続けている。
「当事者間ですでに和解済みではございましたが、試合中に名古屋グランパス、Jリーグ、浦和レッズの3者で行為者への聞き取り調査等を実施しました。なお、聞き取り調査時においては行為者が暴行行為を行ったことを認めておらず、また防犯カメラの映像など、客観的に証明し得る情報を現時点で確認できていないため、本発表においては行為内容を上記表現としております」
 両クラブの発表を受けて、ネット上ではこれまでも一部サポーターが違反行為を繰り返し、昨年7月にはコロナ禍で禁止されていた声出し応援を繰り返したとして、歴代最高額に並ぶ2000万円の制裁金を科された浦和へ向けられた批判が殺到している。
 暴力行為が確認されたと名古屋が発表した今回は、スタジアムの観戦環境を保証していく意味でも、さらに次元が異なる事態に直面している。同時に名古屋が「信頼関係を失墜する行為」と踏み込んで非難したことで、クラブ間の確執という前例のない状況も加わりつつある。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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