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海外メディアも失格処分の失意を乗り越えた加藤未唯の混合ダブルスVを大きく報じた(写真・AP/アフロ)
海外メディアも失格処分の失意を乗り越えた加藤未唯の混合ダブルスVを大きく報じた(写真・AP/アフロ)

「正義は報われた」「失格で640万円を没収され1800万円を勝ち取る」海外メディアは加藤未唯の全仏OP混合Vをどう報じたか?

 テニスの全仏オープン混合ダブルス決勝が8日、パリのスタッド・ローラン・ギャロスで行われ、加藤未唯(28、ザイマックス)、ティム・プッツ(35、ドイツ)組が2-1でビアンカ・アンドレースク(22、カナダ)、マイケル・ビーナス(35、NZ)組を下して4大大会初タイトルを獲得した。加藤は、女子ダブルスの3回戦で自身が打った球がボールガールを直撃して失格処分となり、失格を主張した対戦相手の態度や審判団の判断を巡って世界的な騒動となっていた。失意を乗り越え初優勝を手にした加藤の戦いを海外メディアはどう報じたのか?

 「激動の1週間を取り戻す」

 第1セットを失った加藤、プッツ組だったが、第2セットでは粘り強く自分たちのテニスを取り戻した。10ポイント先取のスーパータイブレイクが採用されたファイナルセットも、積極的に攻撃を仕掛けて、10―6で奪い、日本人としては、同種目で史上3人目となる全仏オープン優勝の快挙を成し遂げた。
 加藤は、4日の女子ダブルスの3回戦でボールガールに球をぶつけたことで失格処分となった。意図してぶつけたわけではなく、当初は、警告だったが、対戦相手のマリエ・ブズコバ(24、チェコ)、サラ・ソリベストルモ(26、スペイン)の2人が「失格では?」「わざとじゃないの」「彼女は(ボールガール)は泣いているじゃない?」などと失格を求めて猛抗議。スーパーバイザーの判断で一転、失格処分となった。加藤はペアで受け取る賞金(約640万円)とポイントを没収され、その後「納得がいかない」と提訴。プロテニス選手協会が「不公平で不当な処分」との声明を出して、主催者に処分の取り消しと、賞金、ポイントの返還を働きかけた。
 一方、スポーツマンシップが欠如した態度を示したブズコバ、ソリベストルモにはテニス関係者、ファンからの非難が殺到。世界的な炎上騒ぎとなり、失意を乗り越える加藤の混合ダブルスの戦いが注目を集めていた。
 海外メディアは、加藤、プッツ組の優勝を大々的に報じた。
 米CNNは、「論議を呼ぶ失格処分の後、日本の加藤が全仏オープンの混合ダブルスのタイトルを勝ち取る」との見出しを取り加藤、プッツ組のVを伝えた。
「加藤が激動の1週間を取り戻して終えた。日曜日に日本のテニススター(の加藤)は、意図なくボールガールに球をぶつけ失格となり涙を流した。あっという間に木曜日となり28歳(の加藤)はドイツ選手プッツと組みタイトルを勝ち取った。このペアは、劣勢を跳ね返して、アンドレースク、ビーナスのペアに4-6、6-4、(10-6)で勝ち、加藤は、表彰式で前もって用意したスピーチを観客に披露した」
 同メディアは、加藤の女子ダブルスでの失格について触れつつ、「彼女は、優勝スピーチで、ボールガールの幸運を祈る一方で、失格処分となった判定に対して提訴することを認めた。『提訴について前向きとなる結果が出て、ポイントと賞金を受け取ることができるよう楽しみにしています』と、彼女は語り、観客から大きな拍手を受けた」と異例の優勝スピーチとなったことを伝えた。
 そして「困難な1週間の後、加藤は決勝でさらなるプレッシャーを克服して優勝の瞬間に空を見上げた。失格してからも加藤を快く受け入れてきた観客からのスタンディングオベーションを受けた」などと続けた。

 

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