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横浜DeNAが電撃契約したバウアー。3年前にサイヤング賞を受賞した超大物だ(写真・AP/アフロ)
横浜DeNAが電撃契約したバウアー。3年前にサイヤング賞を受賞した超大物だ(写真・AP/アフロ)

なぜ横浜DeNAはサイヤング賞の超大物バウアーと契約できたのか…40億円を超える年俸を今季はドジャースが肩代わり

 横浜DeNAは14日、3年前のレッズ時代にサイ・ヤング賞を獲得した前ドジャースのトレバー・バウアー(32)と契約を結んだことを発表した。背番号は「96」で、推定年俸は300万ドル(約4億円)。5年連続で2桁勝利をあげ、ドジャースと3年1億200万ドル(約137億円)の契約を結んでいた超大物のメジャーリーガーは、なぜ横浜DeNA入団を決意したのか。

 「日本でプレーするのは私の夢

 

 とんでもない超大物メジャーリーガーが横浜にやってくる。
 バウアーは2015年からインディアンス、レッズで5年連続2桁勝利をあげ、新型コロナの影響で60試合に短縮された2020年のシーズンには11試合に先発して防御率1.73で最優秀防御率のタイトルを獲得し、5勝4敗、100奪三振(リーグ2位)、WHIP0.79(同1位)の成績でサイヤング賞を獲得した。メジャー通算83勝。ストレートは150キロ後半だが、カット、スライダー、カーブを駆使して奪三振率が非常に高い完成された右腕だ。
 さっそく横浜DeNAは特設サイトを立ち上げて、ベイスターズのユニホームをまとったバウアーの写真と共に動画ムービーを投稿。オンラインでバウアーと会話している三浦監督の様子を伝えた。三浦監督は「前例がないこと。ランディ・ジョンソンや、ロジャー・クレメンスとか(そのようなレベルの)現役バリバリが横浜にくる。大きな戦力が加わったと思います。楽しみにしてください」とファンにメッセージを寄せ、バウアー自身もこう語った。
「今シーズン、ベイスターズでプレーができることになり、非常に興奮しています。日本プロ野球界でプレーをすることは私の夢であり、その夢をファンの皆さんの前でお見せすることができる球団として、ベイスターズ以上のチームはないと思っています。素晴らしいチームの一員となり、一緒に優勝を目指すことができる機会をいただいて、とてもうれしく感じています。選手、そしてファンの皆さんに会いたい気持ちで既に待ち遠しいです。横浜の街で会えることを楽しみにしています」
 
 なぜ超大物が横浜にやってくるのか。
 過去にサイヤング賞の受賞投手としては、1962年にドジャースなどで活躍したドン・ニューカムが中日でプレーしたことがあるが、野手としての来日で投手登板は1試合だけ。また2012年にはメジャーで最多勝タイトルを取ったメジャーの投手としては初めてブラッド・ペニーがソフトバンクに入団したが、わずか1試合に登板しただけで肩を痛めて3か月で退団している。
 過去に大物がNPB入りできなかった最大の理由は、その高額な年俸だ。楽天が、田中将大をヤンキースから戻した際に10億円以上の年俸を払ったとされるが、超大物のフリーエージェントとなると20億、30億円は当たり前。下手をすれば全選手の年俸分にも相当する。バウアーも3年前にドジャースと3年1億200万ドル(約137億円)の契約を結んだ。
 そのバウアーがなぜ推定4億円程度の金額で横浜DeNAと契約したのか。米の移籍などに関する専門サイト「トレード・ルーマー」によると、「ドジャースとの3年契約が1年残っており、2023年の年俸は、ドジャースが負担するため、どのチームもメジャーの最低保証年俸で自由に獲得できる状況にあった」という。メジャーの最低保証年俸は72万ドル(約9700万円)。つまり、今年1年に限ってはドジャースが高額年俸を肩代わりしてくれるため、横浜DeNAの獲得が可能になったのである。
 バウアーは、2021年に知人女性に対するドメスティックバイオレンスの禁止規定違反でメジャーリーグ機構から324試合の長期の出場停止処分を受け(その後、処分は194試合に短縮)、今年1月にドジャースとの契約が解除されたが、メジャーでは新たな契約締結に至る球団はなかった。
 「トレード・ルーマー」は、「ヤンキース、メッツ、パドレス、ツインズ、ガーディアンズは他のチームとともに“バウアー獲得に全く興味がない”とする報道が出ていた」と報じた。メジャー球団が尻込みしたのは、その部分の“傷”だろう。

 

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