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木村吉光が減量ミスで病院に搬送されOPBF東洋太平洋王座決定戦が中止
木村吉光が減量ミスで病院に搬送されOPBF東洋太平洋王座決定戦が中止

「一滴も汗が出ず白目をむきだした」井岡一翔の世界戦“前座”東洋太平洋王座決定戦が木村吉光の減量ミスによる緊急病院搬送で中止…1年間の出場停止処分へ

 大晦日に井岡一翔(34、志成)の世界戦のセミファイナルとして行われる予定だったOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級の王座決定戦が元東洋太平洋、元WBOアジアパシフィック同級王者の木村吉光(27、志成)が減量失敗による脱水症状などで30日の朝に病院へ救急搬送されて計量を棄権し中止となった。木村にはJBCの内規により1年間の出場停止処分が科せられ階級変更が勧告される。なお対戦予定だった元日本同級王者の坂晃典(31、仲里)は、当日に公開スパーリングを行う予定だ。

 午前8時に救急車で緊急搬送「脱水症状と熱中症」

 井岡のアンダーカードに緊急事態が発生した。
 前日計量が行われる品川プリンスホテルにタイトル奪還を目指していた木村の姿がなく、「体調不良による試合中止」がアナウンスされた。
 担当の野木丈司トレーナーの説明によると、コンディションも良好で減量も順調に進み、前日の最終練習を終えた時点で残り1キロ。これまでも睡眠をとることでの代謝で2キロが落ちたこともあるため「代謝か半身浴で落ちる」と楽観視していたが、夜中の1時半に「まったく体重が動かない。手足がしびれている」との連絡が入った。
 すぐさま野木トレーナーが自宅へ駆けつけ電子毛布で体を温めて、翌朝までマッサージを施した。30分ほど眠れたので、45度のお湯で約20分間の半身浴を試みた。しかし、「一滴も汗が出ずに白目をむきだした」(野木トレーナー)ため、午前8時に救急車を呼び、病院に緊急搬送された。それでも木村は最後まで減量を続けようとしていたという。
 最終的に58.9キロのリミットから900グラムオーバーの59.8キロだった。
 搬送先の病気では「脱水症状及び熱中症」との診断が下されて入院。点滴治療などを受けて30日には退院した。野木トレーナーは、「こんなことは初めて。本当に恥ずかしい話。御迷惑をおかけしました」と謝罪した。
 減量のミスによる試合中止とみなされ、JBCサイドは「規約に従い1年間の出場停止処分となり、階級変更の勧告を行うことになる」との見解を示した。
 木村は、2016年度のスーパーフェザー級の全日本新人王。2021年12月に坂と東洋太平洋同級王座決定戦で対戦し3回TKO勝利で王座の獲得に成功した。その後、王座を返上し、2022年8月に中川兼玄(角海老宝石)とWBOアジアパシフィック同級王座決定戦で対戦して12回TKO勝利で再びベルトを腰に巻いた。だが、今年1月の初防衛戦に力石政法(緑)に5回に倒されて王座から陥落した。8月の再起戦に勝ち、今回はジムメイトの森武蔵が返上した東洋太平洋同級王座への返り咲きチャンスで11月27日の記者会見では「小さい頃から大晦日での試合を見ていて、大晦日に試合をするのは夢だったので嬉しい。スカっと勝って“世界へ挑戦できるぞ、まだまだいけるぞ”というところを見せたい」と語っていた。イケメンでABEMAの恋愛番組「シャッフルアイランド」に出演して注目度が急上昇中だっただけに残念な結果となってしまった。
 減量ミスがなかなか撲滅されない状況をJBCも問題視している。体重超過に対しての現在の厳罰が現実問題として大きな抑止力とはなっていない。競技の安全性を担保する意味でも、今回の志成ジムに限らず、ジム側の管理体制の徹底が望まれる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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