なぜ村田諒太は那須川天心に苦言を呈したのか…引退記念パーティーで説明した意図「自分の特長をつかんで伸ばせば世界は取れる」

　元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏（37）の後援会による引退記念パーティーが24日、京都市内のホテルで開かれた。村田氏は18日のボクシング転向第2戦に判定勝利した帝拳ジムの後輩、那須川天心（25）のアマゾンプライムビデオの解説を務め、苦言を呈したが、催されたトークショーの中で、その意図を説明。「自分の特徴をつかんで伸ばせば世界は取れる」と断言した。

「僕くらい天心のことを考えて言っている人間はいない」

　引退会見から6か月後に開催された村田氏の引退パーティーは、超満員の約300人のファンで埋まった。村田氏の母校である南京都高（現在・京都廣学館高）ボクシング部のOBが中心となっているアットホームな後援会が主催したもので2017年の発足以来、節目、節目に祝賀会などが開催されてきた。村田氏がプロ転向した際に、後援会を作りたいとの声がいろんなところから出ていたが、村田氏が「南京OBの方々に任せたい」と切望して立ち上がった後援組織だ。
　村田氏が、今なお師と仰ぐ高校時代の監督だった故・武元前川先生の御家族の方も、毎回出席され、亡き恩師への報告も兼ねた集いとなっていた。
「今、幸せだなと思いました。多くの人が“引退してもボクシングがなくなっても付き合うから大丈夫だ”と言ってくれましたが、多くの人が離れていきます。それが当たり前だと思います。でも、今日、こうやって来て下さった事実が何よりうれしく、本当に応援して下さっていると、改めて感じています」
　そう言って村田氏は、後援会の方々に感謝の意を伝え、記念撮影など、3時間に及ぶ交流の時間を持った。
　そのパーティーの途中でミニトークショーの催しがあり、スタートを切った第二の人生については、「まだ何も見つかっていない」と明かし、「毎日、読書しています」との近況を報告したが、その中で、先日の天心の転向第2戦のアマプラ解説で、苦言を呈したことが話題になった。
「辛口では言っていない。まったく厳しくないですよ。むしろ、天心をむちゃくちゃ応援している。僕くらい天心のことを考えて言っている人間はいませんよ」
　村田氏は“苦言ではない”と繰り返し強調した。
　天心は18日に有明アリーナのセミファイナルでメキシコ・バンタム級王者のルイス・グスマンとスーパーバンタム級8回戦で対戦して、3者がフルマークをつける大差の判定勝ち。1回に鮮やかな左のカウンターを決め、7回にも右フックで、計2度のダウンを奪い、磨きがかかったスピード、タイミング、距離感、重心を落とした踏み込みや、パンチの威力などに確かな成長を見せつけたが「倒す」と公約していたKO決着はできなかった。
　それでもリング上ではマイクパフォーマンスを展開。
「なかなかうまくいかないところもあるが、成長している姿を見せることができたと思うし僕の本気を見せることができたと思う。見ていた皆さん、どうですか？」
「何が本当か嘘かわからない世の中だけど、僕は応援している人とチームを信じて最強の道を突き進んでいこうと思う。僕を信じてくれれば間違いないといえるような選手になりたい」「日本中をかませる男になるので期待してください」などと豪語。「これ世界で放映されているんですよね？」と、カメラに向かって、たどたどしい英語で「I can world　champion！（俺は世界王者になれる）、I can change the world（俺は世界を変えられる）、Please check me！（俺を見ていてくれ）」とメッセージを伝えた。
　アマプラのライブ中継で、感想を聞かれた村田氏は、「少し言葉が先行したかなという気がします」「進化はすごくしているし、ボクサーとしてのパフォーマンスは高い。『成長した姿を見せられました。満足しています』は、素晴らしいことなんだけど、じゃあ皆さまが何を見たかったかってなった時に、それが彼が見せたいものと、お客様が見たいものがイコールしてるかというと必ずしもそうではない。プロである以上はお客様が見たいものを見せる必要はある」と、辛口のエールを送っていた。
　また最後には「フィニッシュまでもっていく選手はどうなのか。それを見せてくれた拳四朗（WBAスーパー＆WBC世界ライトフライ級王者をTKOで防衛）から学んで欲しい」とも付け加えていた。