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日本バンタム級タイトルマッチで王者の堤聖也(右)に挑み激闘を演じた穴口一輝(左)が試合後に意識不明の重体となった(写真・山口裕朗)
日本バンタム級タイトルマッチで王者の堤聖也(右)に挑み激闘を演じた穴口一輝(左)が試合後に意識不明の重体となった(写真・山口裕朗)

井上尚弥、拓真、対戦相手のトレーナーら“仲間たち”が開頭手術を受けて意識の戻らぬ穴口一輝の回復を願い“エール”…過去には“浪速のロッキー”赤井英和氏が社会復帰した例も

 JBC(日本ボクシングコミッション)は30日、26日に有明アリーナで行われた日本バンタム級タイトルマッチで4度のダウンを奪われ判定負けした穴口一輝(23、真正)が、試合後に意識を失い、救急車で搬送され右硬膜下血腫の緊急開頭手術を受けたと発表した。経過観察中だが意識が戻らず予断を許さない状況だという。メインでスーパーバンタム級の4団体統一を果たした井上尚弥(30、大橋)ら、ボクサー仲間たちからの回復を願うエールが相次いでいる。過去には“浪速のロッキー”こと赤井英和氏や、元日本ミニマム級のランカーだった矢代家康氏らが、意識不明、開頭手術の危機を脱して社会復帰している。

 4度のダウンを喫する激闘

 

「年間最高試合」の声が飛び交った激闘の代償は、あまりにも大きかった。
 穴口は、井上尚弥の2階級4団体制覇がかかるビッグマッチのセミファイナルで優勝賞金1000万円の「井上尚弥4団体統一記念・バンタム級モンスタートーナメント」決勝で、日本同級王者、堤聖也(28、角海老宝石)に挑戦した。
 無敗のサウスポー同士の対戦となったが、穴口は、序盤からステップを駆使したスピードのあるボクシングでポイントを重ね、3ラウンドにはパンチで堤の左目上をカットさせた。4ラウンドに左のロングフックからの追い打ちを受けてダウンを奪われたが、ダメージのあるダウンではなく、5ラウンド終了時点の公開採点ではジャッジは3者共に穴口を支持していた。その後も激しい打撃戦となり、穴口は、7、9ラウンドとダウンを喫したが、その度に立ち上がり反撃に転じていた。
 最終ラウンドも、ポイントをとれば穴口の勝利だったが、残り10秒の拍子が鳴ったところで、右ストレートからの連打を浴び、クリーンヒットではなかったが、前のめりに倒れた。すぐに立ち上がってしっかりとファイティングポーズを取ったが、ここでゴング。判定は、94―92が2者、95-91が1者の3-0判定で、堤が4度目の防衛に成功した。
 激闘を制した堤は、リング上で「3ラウンド目に切って負けるかと思ったが、石原トレーナーの言葉が力になった。穴口選手は強くてびっくりした」とコメントしたが、彼もダメージが激しく試合後の公式会見に出席できなかった。
 JBCのインスペクターが、毎回、インターバル間に穴口の様子を確認。試合を止めるほどの異常は見られなかったが、試合終了時には足がよろけた。リング中央で堤と健闘を称え合ったが、足が小刻みに痙攣する異常が発生していた。コーナーに戻った穴口は、膝まづき椅子に座ることもできなかった。
 ただ、この時点ではまだ意識がハッキリしており、トレーナーの補助を受けながら自分で歩いて控室に帰った。だが、そこで体に力が入らなくなり医務室へ入った時点で意識を失った。JBCが、あらかじめ会場に救急車を用意してあったため、すぐさま都内の病院に搬送。JBCの手配で外科医が待機していたこともあり、時間のロスもなく、脳圧を下げるため、ただちに開頭手術が行われ、最善の措置が施されたが、いまだに意識が戻らず、予断を許さない状況だという。
 JBCは、臆測を呼ぶことを避けるため、公表を控えていたが、真正ジムの了承を得た上で発表に踏み切った。

 

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