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ボクシング転向3戦目の那須川天心が1月23日に大阪で世界ランカーに挑む
ボクシング転向3戦目の那須川天心が1月23日に大阪で世界ランカーに挑む

なぜ転向3戦目の那須川天心は総額1500万円もの義援金を能登の被災地に寄付したのか…「格闘技は必要ないかもしれないが戦うことで伝えられる力がある」…初のKO勝利にかける思いを明かす

 対戦相手のロブレスは、18戦15勝(5KO)2敗1分けの戦績を誇る世界ランカー。パンチはなく、天心のようなサウスポーが苦手のようだが、粗さはなく、しっかりと出入りもできて総合力は高い。しかも世界王者メーカーの名トレーナー、イグナシオ”ナチョ”ベリスタイン氏がセコンドにつくのが不気味。風車の理論をあてはめるのは絶好の相手だろう。
 10日の公開練習では「KOする詐欺はやめる」と公約した。
 もしKOができなければ?との質問には苦笑いを浮かべた。
「やる前から負けることを考えるバカがいるか。それを考えてやっていない。もしできないとなれば、いまの戦いのマインドが違っていたのかなと。僕は試合ごとにマインドを変えているので。触れるものだったり、会っている人も変わっていく。戦いの中での攻めるパターンだったり、いつもいかないところでいったり…食べ物を変えたり、些細なことで戦いのマインドが少しづつ変わる」
 プレスをかけて連打から追い込むなど、そのファイトスタイルも超攻撃的に変わったが、プライベートは、その食生活から変えた。味付けの塩から変え、食用の金箔も口にした。
「金箔パワーが凄いって聞くんで」
 その金箔のふりかけを食べていることをインスタにあげたら、メーカーからお礼と共に大量の商品が届いた。よく見ると製造元は石川県だった。震災の被害の少ない金沢への観光客が減っていることが問題になっているが、地産産業への寄与も知らずにしていた。
「なんかすべてがリンクしてつながっているんですよね」
 天心は、会見が終わると、自ら歩み寄り、ロシアに軍事侵攻されて2年になる戦火のウクライナから丸2日かけてやってきたWBA世界フライ級王者のアルテム・ダラキアン(36)に「今のウクライナはどういう状況なんですか?」と問いかけた。首都キーウで暮らすダラキアンは、今なお空襲警報が鳴りやまず、緊迫した状況であることを天心に伝えた。ユーリ阿久井政悟(28、倉敷守安)の挑戦を退けて、ベルトを守るための準備を進めたくとも、スパーリングパートナーが見つからず、一人だけウクライナに呼ぶことができたメキシコ人パートーナーは、そのサイレンの音に驚き、共に防空壕に避難したこともあったという。
「戦うってことは普通に生きていたら意味のないことかもしれない。でもお客さんがたくさん来てくれて、熱気を与えられるもの。ダラキアンは、いまも(母国が)ヤバイのに、それでも来て試合をするわけじゃないですか。戦うことでしか見せられないものが格闘家にはある」
 ダラキアンは母国に勇気を与えるために戦い、天心も自らの拳に思いを込める。(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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