全米メディアは大谷翔平の“MVP争い”完敗をどう報じたか…30人中1位票を投じたエ軍番記者2人を「恥を知れ」と批判したラジオ司会者も

メジャーリーグのMVPが17日(日本時間18日)、MLBネットワークの番組内で発表され、2年連続のアメリカン・リーグのMVPを狙っていたエンゼルスの大谷翔平（28）は選から漏れ、62本塁打のリーグの年間最多本塁打記録を放ったヤンキースのアーロン.ジャッジ（30）が初受賞した。MVPは、全米野球記者協会（BBWAA）の30人の記者投票で選出され、予想通りにジャッジと大谷の“一騎打ち”となったが、ジャッジの1位票が28票、大谷の1位票はエンゼルス担当記者の2票だけで、トータル130ポイント差がつき、ジャッジの圧勝に終わった。大谷は“二刀流”で15勝＆34本塁打の成績でベーブ・ルース以来、104年ぶりとなる2桁勝利＆2桁本塁打をマーク、メジャー史上初となる規定打席＆規定投球回をクリアしたが、その記録も、本塁打、打点の2冠王を獲得しチームの地区優勝に貢献したジャッジへの評価には叶わなかった。大谷vsジャッジのMVP争いの結末を全米メディアは、どう報じたのか？

　ジャッジのお膝元である地元紙のニューヨークポスト紙は、「ジャッジが昨年のMVPで今季も打席とマウンドでの力強いシーズンを送ったにもかわらず（投票で）2位に終わったエンゼルスの大谷を打ち破った」と報道。「ジャッジが30人中28人の1位票を集め、大谷の二刀流の卓越ぶりも、今回限りはジャッジに太刀打ちできなかった」と伝えた。
　CBSスポーツは、「大谷は2022年のMVPを獲得できなかったが、また一つ記録に残るシーズンを送った」との見出しを取り、「二刀流スター大谷は、我々がこれまで見た中で最も素晴らしいシーズンの一つを残し、MVP投票で2位となった。卓越した二刀流での偉業は歴史的でMVPに値するか、もしくはそれ以上のものだったかもしれないが、彼にはコントロールできないものが重なった」と今季のシーズンの活躍を称えてMVP争いを分析した。
　記事は、投打の二刀流で勝利貢献指標のWARが2021年の数値より高かった点に注目。
「大谷は同一シーズンで投打の両方でWAR3.0を上回った歴史上唯一の選手となる。そして彼はそれを2年続けてやり遂げた。そうだ、偉大なベーブ・ルースも投打で同時に（WAR3.0）を上回ったことはなかった」と、偉大なるルースと比較した。
　一方でエンゼルスのチーム成績が悪かったことに加えて、ファンの関心度が、昨年に比べて多少落ちたことについても触れ、「人々が今シーズンの大谷にアッと驚かされるようなことが2021年ほどはなかった。その理由はとても単純で、2021年の大谷は、我々がかつて一度も見たことのないものだったからだ。ルースの時代を生きた人がいても、大谷がやっていることは、それ以前に一度もなかったことを示していた。大谷は、全体として2021年より2022年の方が良かったと思うが、2021年の成績を吹き飛ばすものではなかったことも確かだ。多くの人々は大谷が行ったことに興奮してきたが、2021年と同様ではなかった。もはや新しいものではなかったため大々的に取り上げられることもなかった。フェアではないが、それが現実。もし彼がナ・リーグにいれば、おそらくMVPを勝ち取っていただろう。彼は、ナ・リーグにおらず、MVPの連続受賞に対して（ジャッジの本塁打記録という）不利に作用したことがもう1つあった」と分析した。
　記事は最後に「（大谷への）関心が下がったことや、ひどいチームメートのパフォーマンスに加え、ジャッジによって作られた歴史的記録が、彼の2年連続MVPを妨げる要因として重なったが、間違ってはいけない。（2021年、2022年の）野球史上最高の二刀流成績は同じ選手が2年連続で実現したのだ。たとえ大谷に2022年のトロフィーがもたらされなかったとしても、我々は信じられないほど特別なことを目撃したのだ」と締めくくった。

　エンゼルスの地元紙オレンジカウンティレジスター紙は、「エンゼルスの大谷がア・リーグMVP争いでヤンキースのジャッジに次いで2位に終わる」との見出しを取り、「大谷の再選はなかった。大谷は、満票でMVPを獲得した昨年より2022年の方が良かったと考えていると明かしたが、ヤンキースのジャッジに今回は遠く及ばなかった」と報じた。
　記事はエンゼルスの担当記者の2人が大谷に1位票を入れたことを紹介しつつ、「シーズン終盤には2人のMVP争いについての多くの論争があったが、最終的には接戦とならなかった」とし、ジャッジに投票した3人の記者の声を紹介した。