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阪神の藤川監督は選手と積極的にコミュニケーションを取った(写真・黒田史夫)
阪神の藤川監督は選手と積極的にコミュニケーションを取った(写真・黒田史夫)

異例?!なぜ阪神の藤川監督は沖縄キャンプ初日に選手達に「おめでとう」と声かけをしたのか…岡田前監督が作り上げたチームに求めている変化とは?

 V奪回を狙う阪神が1日、沖縄の宜野座でキャンプイン、新監督に就任した藤川球児氏(44)は早出特守から見守り、ブルペンでは選手に「おめでとう」と声をかけた。異例のメッセージの裏には、選手へのリスペクトと主体性を求めたいとの意図がある。前監督の岡田彰布・オーナー付顧問(66)が作りあげたチームをさらに進化させることができるのか。

 選手へのリスペクト

 キャンプ初日にドラフト1位の伊原や2人の新外国人を含む17人がブルペンに入った。投げなかったのは、才木、ゲラ、大竹、伊藤、ルーキーの木下の5人だけ。藤川監督は、その活況のブルペンの投手側にずっと立っていた。
「向かい側(捕手の後ろ)に立つと邪魔なんで」
 ストッパー時代に感じた投手側からの感覚。
 ほとんどを腕組みをしながら見守っていた。アドバイスはない。だが、ピッチングを終えた投手には、必ず一言、二言と笑顔で声をかけていた。
 何を?
 それを明かしたのは先発候補の新外国人デュプランティエだ。
「おめでとうと言ってもらった」
 藤川監督が、選手にかけていたのは「おめでとう」「ありがとう」という言葉だった。長く阪神のキャンプ初日を取材しているが、指揮官がこんな言葉がけをした記憶はない。異例のメッセージと言っていいだろう。
 藤川監督が、その言葉の意図を明かす。
「ここまで健康でこれたこと、特にピッチャーはコンディションを整えるには大変な作業がある。だから『ありがとう』というより『あめでとう』という言葉。ここから競争がはじまる。そういう声かけの笑顔だったかもしれない」
 キャンプインへの準備を万全に整えてきた選手たちへのリスペクトを込めた「おめでとう」である。
「オフから選手に課題というか宿題、どこまで仕上げてこられるかを少ない言葉数でメッセージとして残していた。準備をしてくれたのがリスペクトに値する」
 そして藤川監督が非常に重要なことを言った。
「主体的に選手がグラウンドで自分たちで考えることが今の阪神が一番力強いチームになる。オフに満足できる過ごし方をしてもらったことが監督して非常に助かる」
 主体性は集団スポーツにおいてチームが強くなるために重要なキーワードである。
 サッカーの元日本代表監督として2度もW杯で指揮を執り、南アフリカ大会ではベスト8入りを果たした岡田武史氏は「やらされるのではなく自分たちで考えることができればチームは強くなる。世界で通用するチームになるために必要なこと」と訴え続けていた。今は、J2昇格を果たしたFC今治のオーナーとして、チーム運営にかかわり、高校まで作りその世代から「自分たちで主体的に考えること」を指導している。ちなみに岡田氏は岡田前監督の早大時代の同級生で今も2人は親交がある。
 誰かにやらされるのではなく、自分たちで考え、取り組み、悩み、それを結果につなげることが、プロ集団をもう一段階、進化、覚醒させるためには重要なコーチングのキーワードなのだ。

 

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