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天心は父弘幸さんの顔を見ると号泣した(写真・山口裕朗)
天心は父弘幸さんの顔を見ると号泣した(写真・山口裕朗)

不服は正しいか?「ダウンも取ったし負けた気がしていない。ボクシングで負けた」那須川天心が井上拓真から7回に衝撃ダウンを奪うも0-3判定に疑問…激闘の裏にあった父からの「引退勧告」

 4ラウンド後の公開採点が誤算だった。
 天心は大方の予想を裏切り「向こうはボクシングをしてくる。そこで負けちゃいけないと駆け引きをしていた」と、前に出る”サプライズ急襲”をするのではなく、慎重にスタートした。強引にはいかずジャブと打ち終わりに狙うカウンターで組み立てたが、1人が38-38のドロー、2人が、40-36、39―37で拓真を支持していた。 
 葛西トレーナーは「最初の4ラウンドの採点にビックリした。3ポイントは取っているのかな、同点でもしょうがないかなと思っていたところで…」と振り返った。
 浜田代表も「井上君が出てくると予想して、下がらず迎え討つ(作戦)だったが、思ったより出てこなかった。4ラウンドの採点を聞いて取られてんのか?と。3人のジャッジがそういう取り方がわかってよかった。それ以降、葛西にもっと強めに攻めるように言い、ダウンにもつながった」と、懸命に修正を試みていたことを明かした。
 天心はダウンを奪った次の8ラウンドをジャッジ3人が拓真につけたことにも納得がいかなかった。
「自分でなかなか理解できない。試合を見てみないとわかんない。謎。わかんない」
 そしてこう続けた。
「僕の場合は、ポイントをとってボクシングをやるプランはない。倒して勝ちたかった。プロボクシングなんで決着をつけたい。そこにいきすぎた部分があったのかなと」
 拳を合わせた天心の実感としてはそうなのだろう。
 負けた気がしないから負けた現実を受け入れることができない。
 葛西トレーナーも勝者へリスペクトを示した上で天心を援護した。
「思った通りの試合展開だった。判定になるなら本当はダウンで終わりだった。拓真選手の精神力で生き延びさせてしまった。さすがだな」
 納得がいかない部分があるという。
「判定になるなら、途中ダウンをとって判定勝ち。この勝敗は想定外だが、雰囲気は出ていた。リングジェネラルシップは取れていた。1ラウンドから倒しにいかなきゃいけなかったのか。それでは12ラウンドの戦いができない。ダウンをとって優勢でポイントがついてくるはずだったが、それがマイナスについてしまうのだから難しい。主導権はこっちだったと思う」
 だが7ラウンドに奪ったダウンシーンを除けば明らかなダメージショットはそう多くはなかった。拓真のポジショニングに苦しめられ、天心の距離で打てた会心の左は、あの7ラウンドの2発だけだったという現実もある。しかも、今回の米国人2人、メキシコ人1人のオフィシャル構成は、大橋陣営は一切立ち入らず、WBCの決定に帝拳サイドがOKを出したもの。厳しい言い方かもしれないが判定に勝敗を委ねたことを悔いるべきだろう。

 

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