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天心は父弘幸さんの顔を見ると号泣した(写真・山口裕朗)
天心は父弘幸さんの顔を見ると号泣した(写真・山口裕朗)

不服は正しいか?「ダウンも取ったし負けた気がしていない。ボクシングで負けた」那須川天心が井上拓真から7回に衝撃ダウンを奪うも0-3判定に疑問…激闘の裏にあった父からの「引退勧告」

 昨年11月に井上拓真に敗れ、週に1度、幼い頃から指導を受けていたキックの「TEPPEN GYM」の会長でもある父の弘幸さんの元で練習を行うようになった。
「結局、負けたのは技術ではなく気持ち。小さい頃から本質的には気持ちが弱い子なんで」
 父は追い込む練習の中で踏み込む勇気、打撃戦でも打ち負けない魂を植え付け、4月には元2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)をギブアップさせた。
 だが、父の弘幸さんは「まだ拓真を倒すには気持ちが足りない」と思っていた。
 再前への覚悟を試すため「あえて一度落としたんです」という。
 ちょうど1か月前だ。
 スパー終わりに「このままじゃ拓真チャンピオンに負けるぞ。もうやっても一緒だ。もうやめちまえ。引退しろ!」
 引退勧告をした、
 這い上がってくるか、それともこのまま地に落ちるのか。
 賭けだった。
 天心は強靭なメンタルを作って這い上がってきた。
 所属選手の試合がタイであり、弟の龍心がRISEの2階級制覇に挑む試合が19日にあったため、20日から3日間、最後の集中合宿をTEPPEN GYMで行った。
「まだ出来上がっていない。拓真選手との第1戦が3とすれば今回は5。それなら五分。残りを再戦のリングの中でどれだけ伸ばせるか。つまり天心はまだ発展途上なんですよ」
 リングサイドで声を晴らした弘幸さんは、号泣する天心と抱き合い「今までで一番良かった」と声をかけた。
 天心は見違えるような心の強さを示してトヨタアリーナに感動を運んだ。拓真に「成長していた」といわしめた。
 気になる今後について天心は「わからない」と言葉を濁した。
 白黒をハッキリとさせる天心にしては珍しい態度だ。
「今は口にしたくない」とも「同じ相手に2回負けてますし、ちょっといろいろ考えますね」とも言った。
 決めているが、それを今語ることに天心は、何か引っかかりを感じたのか。
「やられた感じはない。取られているかもと思ったところ(ラウンド)もあるが、全体を通して前より成長した自分は見せられたんじゃないか、とやっていて思った。まだまだこんなもんじゃねえ、という気持ちはある」
 現役続行宣言とも取れる発言だった。
 父の弘幸さんの言う「まだ出来上がっていない」との言葉とも符合する。

 

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