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ヴィッセル神戸は三木谷会長の涙の続投表明の効果もなくジュビロ磐田とスコアレスドロー(資料写真・Motoo Naka/アフロ)
ヴィッセル神戸は三木谷会長の涙の続投表明の効果もなくジュビロ磐田とスコアレスドロー(資料写真・Motoo Naka/アフロ)

なぜ三木谷会長“涙の続投表明”の効果もなく神戸はまた勝てなかったのか?

 湘南に1-2で敗れ、入れ替わる形で再び最下位に転落した21日の夜。三木谷会長は自身が率いる楽天グループの無料通話アプリ、Viber上で意味深な投稿を繰り返した。

 最初に「この結果に大きな責任を感じています」と謝罪。サポーターから具体的な責任の取り方を問われると「個人会社のときも含めて、19年間一生懸命やってきたつもりですけど、いつでも身を引き辞めますよ」と返答。さらにこう続けた。

「けじめつけないとね。大好きな神戸のためと19年間それなりに必死でやって来ましたが、僕がいないほうがクラブも自立、奮起するでしょう」

 辞任を示唆する内容に、にわかに去就が注目された。しかし、2日後の23日深夜になって状況が一変する。三木谷会長がおもむろに自身のツイッター(@hmikitani)を更新し、8分近い動画を引用した上で「I am back.」とつぶやいた。

 何を持って「back」とするのか。それは動画の内容が物語っていた。

 23日早朝に東京から急きょ神戸入りした三木谷会長は、練習開始前にコーチングスタッフや選手を集めてミーティングを開催。涙ながらにこう宣言し、一致団結を訴えた。

「もう一回、一生懸命やろうと思いました。このままやり続ける、というのも格好悪いのだけれども、格好悪くてもいいと思い、戻ってくることにしました」

 その場にいた全員が胸を打たれた。中3日で迎える磐田戦へ、ロティーナ監督も「いいリカバリーができた。フィジカル的にもいい状態で臨んでくれる」と手応えをつかんでいた。しかし、負けなかったものの、白星も手にできなかった。

 勝てない理由はどこにあるのか。まずは先発メンバーを見ると、湘南戦からMF郷家友太を井上に変えただけだった。対照的に磐田は中2日という事情もあって4人を入れ替えている。ロティーナ監督の言葉が深刻なチーム事情を物語っている。

「確かに中3日だが、すべての試合が重要なので、チームに一番重要な結果をもたらせてくれる選手を選んだ。その結果がこの先発メンバーになる」

 FW大迫勇也にFW藤本憲明、DF槙野智章ら、コンディション不良や負傷で離脱している選手が多く、ほぼ同じメンバーを強行出場をさせるしかなかった。特に攻撃陣で離脱者が多く、交代枠を2つ余らせたまま試合終了を迎えている。

 開幕から波に乗れず、クラブ史上で最高位の3位に躍進した昨シーズンから一転、まさかの最下位にあえいでいる状況も選手たちのメンタルに大きな影を落とす。Jリーグの公式ホームページは、ロティーナ監督のこんなコメントを伝えている。

「チームとして掲げていた目標よりも、さらに上の目標で戦えているときは自然と自信を持ってプレーできる。ですが、掲げていた目標よりも下の、もっと低い目標で戦わざるを得ない状況はチームの自信を失わせ、焦りも生んでしまう。サッカー選手も人間なので、当然ながらその影響は無視できないと思っている」

 後半アディショナルタイムには、イニエスタのパスに反応して左サイドを抜け出したDF酒井高徳がゴール前へクロスを上げた。しかし、ニアにもファーにも味方が詰めていない状況に、酒井は大きなゼスチャーを介して「なぜだ」と訴えた。

 

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