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川崎フロンターレがサガン鳥栖に快勝で暫定首位浮上。ベテランFW家長昭博が存在感を示す(資料写真・アフロスポーツ)
川崎フロンターレがサガン鳥栖に快勝で暫定首位浮上。ベテランFW家長昭博が存在感を示す(資料写真・アフロスポーツ)

なぜ川崎は3か月ぶりに暫定首位に浮上することができたのか…残り9試合でV3達成の可能性は?

それでも手を緩めない川崎は終了間際の42分に、途中出場していた元日本代表MF大島僚太(29)が昨年7月17日の清水エスパルス戦以来となるゴールを決める。結果だけでなく内容に対しても、鬼木監督を十分に納得させる快勝だった。

「知念や僚太(大島)は久しぶりに長くゲームに出たので、ゴールはかなり自信になる。どれだけいいパフォーマンスをしていても結果が欲しいのが選手なので、ジョアン(シミッチ)にしても彼の特長を出した、非常にいいプレーだったと思っている」

 リーグ戦3連覇の挑戦権を手にして臨んだ今シーズン。しかし、30年目を迎えたJリーグの歴史で、2007シーズンから2009シーズンまでの鹿島しか達成していない偉業がいかに困難を伴うのかは、誰よりも川崎の選手たちが理解していた。

 2017、2018シーズンを連覇するも、4位に終わった2019シーズンを経験しているキャプテンの日本代表DF谷口彰悟(31)は、開幕前にこんな覚悟を明かしていた。

「いままで通りではまったく通用しないシーズンになると思っている。現状維持ではなくて、まったく異なる何かを新しく生み出していかなければいけない」

 歴史的な独走劇で駆け抜けた2020シーズンに比べて、最終的には2位以下に大差をつけた昨シーズンも、夏場にはマリノスに勝ち点1ポイント差に肉迫された。追われる側の難しさを、今シーズンは開幕直後から続いた混戦状態で味わわされてきた。

 2020シーズンのオフにMF守田英正(スポルティング)、昨夏にMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)とFW三笘薫(ブライトン)、そして昨シーズン後にはMF旗手怜央(セルティック)と、日本代表にも名を連ねる主力が続々とヨーロッパへ移籍。そのたびにチームを作り直した影響も決して小さくはなかった。

 湘南ベルマーレに0-4で大敗した5月25日に、首位を鹿島に明け渡した。その後は夏場に6連勝を含めて9戦連続無敗(7勝2分け)をマークし、破竹の勢いで勝ち点を積み重ね続けたマリノスの背中が遠く霞みかけた時期もあった。

 浦和レッズに1-3で敗れた7月30日の第23節。コロナ禍に見舞われた川崎は控えのフィールドプレーヤーがわずか2人だけとなり、ベンチに3人のゴールキーパーをスタンバイさせるスクランブル態勢で、それでも下を向かずに戦い続けた。

 この時点で首位のマリノスとの勝ち点差は11ポイントに広がった。しかし、相次ぐ逆風が王者のプライドに火をつけた。ホームにマリノスを迎えた8月7日の第24節。1-1で迎えた後半アディショナルタイム9分に、足がつって前線でしかプレーできなくなっていたDFジェジエウ(28)が奇跡の決勝ゴールを頭で叩き込んだ。

 ジェジエウのゴールをアシストした家長は「これで首の皮一枚、つながったかなという感じ」と勝利を振り返り、さらにこんな言葉を残している。

「コロナの陽性者が多いのは仕方ない。それでも試合はどんどん迫ってくる状況で、いる選手ができるプレーをしようと準備してきたし、それができたと思っている」

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