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先発の與座海人が日ハム打線を5回無失点に抑えて自身初の2桁勝利をマーク。お立ち台で男泣きした
先発の與座海人が日ハム打線を5回無失点に抑えて自身初の2桁勝利をマーク。お立ち台で男泣きした

なぜ西武は1日で自力Vを復活させることができたのか…トップ3チームが再びゲーム差「0」で優勝争う大混戦

 辻監督自身も金子の1番起用を逡巡していた。

「下で調整していたバッターをいきなり1番で。どうしようかとずっと考えていたけど、ヘッドコーチとバッティングコーチが『1番でいきましょう』と。(終わってみれば)何か嬉しくなってくるよね。源田も生き生きとしてきたしね」

 レフト前へポトリと落ちそうな3番・近藤健介の打球を、自慢の俊足を飛ばしながらスライディングキャッチ。與座が初めて三者凡退に仕留めた3回をアシストした、金子の超ファインプレーは復活祭への“プロローグ”だった。

 自らが先頭打者だったその裏の攻撃。フルカウントからポンセが投げ込んだ、真ん中高めの145kmのストレートをジャストミート。鋭いライナーは瞬く間にセンターを襲い、スライディングする必要がまったくない三塁打となった。

「何とか食らいついて、どうにかして前に飛ばそうと思って振りました。とにかく捕らんといてくれ、抜けてくれと思いながら走りました」

 無死三塁のチャンスで奮い立ったのが、辻監督をして「生き生きとしてきた」と言わしめたキャプテン、2番の源田壮亮だった。久しぶりに“ネコゲンコンビ”を組む金子へ、源田はプレーボール前にこんな言葉をかけていた。

「ネコさん、頑張ってくださいと。オレが返すとカッコよく言ってくれたんですよ」

 金子の述懐通りに、源田のバットも快音を残す。チェンジアップ、カットボール、スプリットをすべてファウルで粘った4球目。ど真ん中に入ってきた148kmのストレートを芯でとらえ、金子を迎え入れる右中間三塁打で続いた。

 3番・森友哉もセンターへ大きな犠飛を放つ。瞬く間に2点を追加した攻撃に「こんな理想的な形はないですよ」と目を細めた辻監督だったが、5回を4安打無失点に抑え、入団5年目で初めて2桁勝利を達成した與座には手放しで喜ばなかった。 「もちろん與座の10個の勝ち星がなかったら、となるだろうし、昨年だってそこまで勝っていないわけだからね。0点に抑えたのだから、そこは評価したいんだけど」  苦言を呈したのは5イニングで「97」を要した球数にあった。

 継投に出た6回は、左腕の佐々木健が左打者に四球を連発。急きょ登板した森脇亮介が8番・谷内亮太を遊ゴロに仕留め、源田の芸術的なグラブトスから併殺に打ち取り事なきをえた。それでも辻監督は與座の成長を認めるからこそ、先発を託される以上は少しでも長いイニングを投げてほしいとあえて注文をつけた。

「疲れもあるだろうし、いろいろと研究もされてくる。すべてのピッチャーに言えることだけど、大事な時期の試合で大きなミスはできないと思う部分もあるだろうし、そうなると球数も増えてくる。ただ、與座のよさはテンポと高低をしっかり投げ抜くところ。その意味では慎重になりすぎたところがあるので」

 

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