• HOME
  • 記事
  • 野球
  • なぜ西武は1日で自力Vを復活させることができたのか…トップ3チームが再びゲーム差「0」で優勝争う大混戦
先発の與座海人が日ハム打線を5回無失点に抑えて自身初の2桁勝利をマーク。お立ち台で男泣きした
先発の與座海人が日ハム打線を5回無失点に抑えて自身初の2桁勝利をマーク。お立ち台で男泣きした

なぜ西武は1日で自力Vを復活させることができたのか…トップ3チームが再びゲーム差「0」で優勝争う大混戦

 その與座は試合後のお立ち台で思わず声を詰まらせている。

 2017年のドラフト5位で岐阜経済大から入団しながら、2018年秋に在学中から炎症を起こしていた右ひじのトミー・ジョン手術を受けた。支配下登録選手契約を解除され、育成契約からはい上がってきた胸中を問われたときだった。

「僕自身……本当にファンのみなさんの声援が力になっています」

 スタンドから降り注ぐ拍手に後押しされながら、王手をかけてから3連敗を喫した末にようやく手にした10個目の白星を、與座は胸を張って振り返った。

「初心に帰って、打者を一人ひとり打ち取っていくことだけを意識した。真っ直ぐで押せていけたし、友哉(森)ともしっかりと組み立てながら打ち取れたと思う」

 連敗を3で止めた西武は、ソフトバンクとの首位攻防戦に敗れたオリックスを抜いて2位へ浮上した。前日に消滅していた自力優勝の可能性も、わずか1日で復活させた。もっとも、首位に再浮上したソフトバンク、西武、オリックスは再び0ゲーム差にひしめき合い、さらに楽天が2.5ゲーム差の4位で続く。  歴史的な大混戦と形容されてもいいペナントレース。それでも西武の主砲として2度の日本一と、5度のパ・リーグ制覇を知る中村は自然体が必要だと強調した。たとえば他チームの試合結果が気になるのか、と問われるとこう答えている。

「一応それは知っておかなきゃいけない、という感じですかね。めちゃくちゃ気にしているかと言われれば気にしていないし、昨日もオリックスとソフトバンクのどちらが勝ったのかも知らなかった。朝のヤフーニュースで知った感じなので。集中するときはしっかり集中して、どうしても力が入っちゃうので抜くところは抜かないと。まだ十何試合残っているし、最後の最後にバテたら意味がないので」

 残り試合は西武とオリックスの「13」に対して、ソフトバンクは「18」と多い。一夜明けた今日12日からは敵地Pay Payドームで、ソフトバンクとの3連戦。それでも辻監督は笑みを浮かべながら、中村に通じる自然体を漂わせた。

「そうか、明日試合か。移動して」

 天王山第1ラウンドのプレーボールは18時。来日1年目で2桁の10勝を、チーム一番乗りでマークした左腕エンスに先発を託す西武に対して、ソフトバンクは5月の西武戦でノーヒットノーランを達成した右腕、東浜巨が先発する。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

関連記事一覧