鎌田大地はフランクフルトの欧州リーグ優勝に貢献した(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
鎌田大地はフランクフルトの欧州リーグ優勝に貢献した(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

欧州で市場評価上昇中の鎌田大地を森保監督は使いこなせるのか?

 昨年9月に開幕したアジア最終予選。4-2-3-1のトップ下で先発した鎌田は、夏の移籍期間で望んでいたステップアップを果たせず、フランクフルトに残留した状況で「メンタル的にちょっと難しかった」と後に語っている。

 必然的にパフォーマンスも低下する。オマーン代表との初戦を落とした日本のトップ下は、続く中国代表との第2戦で久保建英(20、マジョルカ)に代わった。

 その久保も負傷離脱すると、サウジアラビア代表との第3戦で再び鎌田がトップ下を担う。しかし、敵地ジッダで苦杯をなめさせられると、森保監督は帰国後に臨んだオーストラリア代表との第4戦でシステムを4-3-3へ変えた。

 中盤の「3」は遠藤航(29、シュツットガルト)がアンカーを、守田英正(27、サンタ・クララ)と田中碧(23、デュッセルドルフ)がインサイドハーフを拝命。実質的にボランチを3枚配置する戦法でオーストラリアに勝利した森保監督は、勝っているチームはいじらない、なるサッカー界の格言を愚直に実践し続けた。

 実際に年をまたいで6連勝をマークし、7大会連続7度目のワールドカップ出場を決めるまでの過程で、オマーンとの再戦となる第6戦で守田が出場停止になった。

 しかし、森保監督が代役に指名したのは柴崎岳(29、レガネス)だった。序列を大きく後退させた鎌田は代表戦のピッチから遠ざかり、今年に入ってからは選外が続いた。

 一方でシーズンが深まるにつれて、フランクフルトでの存在感が一気に増してきた。基本ポジションは3-4-2-1のダブルシャドーの一角。42年ぶり2度目の国際タイトルとなったヨーロッパリーグでは、5ゴール1アシストをマークした。

 頂点へ勝ち上がった過程で、準々決勝では数多くのスペイン代表を擁するバルセロナを下している。ヨーロッパ視察中にフランクフルトの準々決勝を観戦した森保監督は、バルセロナがそのままスペインではないと断りを入れた上でこう語っている。

「攻守ともに大地がアクセントになっていた。攻撃では相手が守りづらく、誰がマークについていいのかがわからないポジションを取ったことで相手が嫌がっていた」

 そのスペインと、カタールワールドカップのグループEで同組になった。鎌田がトータルで4シーズンにわたってプレーしたブンデスリーガ1部から、王者バイエルン・ミュンヘン勢を中心に多くの代表選手が招集されているドイツとは初戦で顔を合わせる。

 バルセロナに強烈な印象を与え、ブンデスリーガを熟知している意味でも、森保ジャパンで放つ鎌田の存在感は増してくる。ただ、指揮官は「インサイドハーフかトップ下が、いまの日本の戦いのなかでははまる」と繰り返しながらこうつけ加えた。

「ウイングというかサイドハーフもできるし、ボランチもできる選手かなと思っていますけど、状況によってはトップもできるかなといまも思っています」

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