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ドイツ戦では、その采配が絶賛された森保監督だったが、0-1で敗れたコスタリカ戦では疑問の残る采配があった(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
ドイツ戦では、その采配が絶賛された森保監督だったが、0-1で敗れたコスタリカ戦では疑問の残る采配があった(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

城氏がコスタリカ戦に敗れた”森保采配”に「4つの疑問」を指摘…「ドイツ戦から先発メンバーを5人も替える必要があったのか?」

 後半36分の失点シーンはミスが重なったものの選手のプレー選択に疑問が浮かぶ。
 伊藤がペナルティエリア内へヘッドで返したボールを吉田がハッキリとクリアせず、そこからボールをつなぐことを選択した。その戻したボールをフォローしようとした守田がバランスを崩してバイタルエリアでテヘダにボールを奪われた。そこからパスを送られ、フレールにシュートを打たせることになった。吉田がクリアを選択すればなんら問題はなかった。そのシュートは吉田の体に触れ、ボールの方向が少し上へと変わったこともあったが権田のジャンプのタイミングもわずかに遅れた。しかも、ジャンプした権田は、なぜか基本である片手のセーブではなく、両手でセーブにいった。指先に触ったが、もし片手で防ぎにいっていれば、もう少し上へ体が伸びて止めることができたのかもしれない。ちなみにコスタリカが枠内に打ったシュートは、これがスペイン、日本の2試合を通じて初めてだったそうだ。まさにワンチャンスでやられたわけである。
 後半に三笘という個の力で打開できる日本の武器を生かしきれなかった点も疑問だ。
 1点を追うことになった日本は、左サイドから三笘が、ワールドクラスのドリブルでの突破力を示して、ペナルティエリアに侵入して、43分とアディショナルタイムに入ってからの48分と、2度、決定的なチャンスを作った。だが、その三笘も、後半16分に投入されてから、しばらくボールに触れることができなかったし、均衡が破れてから、計15分間で、三笘がボールを左サイドで持ったのは、この2度だけだ。もっと勝負させてよかったが、ベンチから縦勝負の明確な指示があったのかどうか。 
 三笘のドリブルを使うには、左サイドでの伊藤との連携が重要になってくる。しかし、伊藤は、オーバーラップを仕掛けることで三笘がドリブルで推進するスペースを逆に潰してしまっていた。「伊藤に高い位置を取らせるから、三笘はもっと前へ」という意思統一が左サイドの連携で見られなかったのである。
 ドイツ戦の勝利でつかんだ勢いを勝ち点につなげることができず、しかもスペインとドイツが1-1で引き分けたため、一転、グループリーグ突破は、かなり厳しい状況に追い込まれた。
 1996年のアトランタ五輪では、グループリーグの初戦で優勝候補のブラジルに勝利してメディアに「マイアミの奇跡」と騒がれたが、実際、私たちは「奇跡だ」ととらえていて、大喜びしていたわけではなかった。しかし、第2戦でナイジェリアに0-2で敗れ、最終戦でハンガリーに3-2で勝利したものの2勝1敗で3チームが並ぶ混戦となり得失点差で決勝トーナメント進出を逃した。
 今大会のドイツ戦勝利は、「奇跡半分」「必然半分」の結果だったと私は見ていて、アトランタ五輪の状況とは違うと考えていた。“第2戦のエアポケット“に、はまる同じ轍だけは踏んで欲しくないと願っていたが、ほんの小さな綻びが、失点につながり、グループステージ突破の絶対条件だった勝ち点1も逃した。
 ただ自力でのグループステージ突破の可能性は残っている。スペインとドイツが引き分けたことで大混戦となってしまったことは、日本にとって好ましくない展開ではあるが、12月1日のスペイン戦で勝ち点3を奪えばいいのだ。粘り強く守備的に戦い、ワンチャンスをモノにするサッカーに勝機を見出したい。キーマンになるのは、守田―遠藤のボランチコンビだろう。彼らが、いかに中盤でスペインを封じ込んで試合をコントロールできるか。そして前半をどれだけ耐えきれるか。冨安、酒井もピッチに戻るだろう。決勝トーナメント進出をかけたスペイン戦は日本の真価を問われる戦いとなる。
(文責・城彰二/元日本代表FW)

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