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オリックス吉田正の劇的サヨナラ弾の裏に何があったのか…2勝2敗1分のタイに並ばれたヤクルトの選択ミスとマクガフの誤算

 中嶋監督は、シリーズの分岐点となる大事なゲームのベンチから、前日に回跨ぎをさせた宇田川と、2イニングを投げさせた山崎颯の“ブルペン四天王”の2人を外していた。若い2人の今後の選手生命と第6戦以降を見据えた英断とも、短期決戦用の采配を誤ったとも取れる選択だった。
 しかし、結果的に3番手の近藤が、6回にアンラッキーな打球もあったものの4本のヒットを集中され、同点、勝ち越しを許すことになった。もし9回のドラマがなくヤクルトに王手をかけられていれば、中嶋監督の選択は、やり玉に挙げられていただろう。
 一方でシリーズ第2戦で9回にまさかの代打同点3ランを内山に打たれて自信を失っていた阿部が、6回二死二、三塁のピンチを脱して、回跨ぎとなった7回も無失点。第1戦で村上に一発を献上した平野が8回を三者凡退、ワゲスパックも9回を3人でピシャリと抑え、1点差をキープしたままサヨナラ舞台につなげた。宇田川、山崎颯、阿部、ワゲスパックの“ブルペン四天王”に加え、平野まで自信を回復させて“後ろ”を完全に整備した状態で対戦成績をタイに戻した意義も大きいだろう。
 中嶋監督が言う。
「なかなか勝てなかったですが、これでタイになりました、あとは勝ち抜くだけ」
 懸念材料は第1戦で左脇腹に違和感を訴え途中降板したエースの山本が不在という部分。おそらく第6戦には、神宮のマウンドと相性がよく、第2戦で4回無失点と好投した山崎福、第7戦には、中4日になるが、山田の3ランの一発に泣き、89球を投げた左腕の宮城を送ることになるだろう。いずれにしろ先制点を奪い、最強のブルペン陣で逃げ切るしかない。
 そして3勝3敗1分けで並んだ場合は31日に続けて神宮で第8戦に突入する。1986年の西武と広島との日本シリーズ以来、36年ぶりとなる第8戦の可能性が現実味を帯びてきた。オリックスとヤクルトの日本一決定戦は、2年続けて、どちらが勝ってもおかしくない激闘となった。
 キャプテンの吉田正が満場のファンにこう語りかけた。
「今日で最後の京セラドームの試合だったんですけど、たくさんの方に応援いただいて、またタイに持ち込めたので、神宮でも一戦必勝で戦っていきたいと思います。ちょっと体もしんどくなってきましたけど、チャンスをつかめるところまで来ています。まだ2勝ありますけど、まず1勝を目指して明後日。頑張ってきます」
 決戦の舞台は29日から再び神宮へ移る。
 (文責・RONSPO編集部)

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