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「バスクダービー」で今季3ゴール目を決めたレアル・ソシエダの久保建英は興奮のあまりユニホームを脱いだ(写真:Ricardo Larreina/アフロ)
「バスクダービー」で今季3ゴール目を決めたレアル・ソシエダの久保建英は興奮のあまりユニホームを脱いだ(写真:Ricardo Larreina/アフロ)

なぜW杯で不完全燃焼の久保建英はレアル・ソシエダで覚醒したのか…スペイン地元紙は「並外れた存在」と評価

 2018-19シーズンの途中から指揮を執るイマノル・アルグアシル監督(51)のもとで、2019-20シーズン以降は6位、5位、6位と上位をキープ。今シーズンもバルセロナ、レアル・マドリードに次ぐ3位につけるソシエダの攻撃的なスタイルが合っていると、前出の『Movistar Plus』のフラッシュインタビューで久保は嬉しそうに語っている。
「今シーズンはボール奪取にかなり集中している。ボールを失った直後に奪い返す動き、前線から奪う動きですね。相手陣地でのボール奪取、いわゆるハイプレスで僕たちはポゼッションフットボールを体現でき、攻撃的で強いチームでいられるんです」
 大活躍を演じる舞台も整っていた。
 ともにスペイン北部のバスク地方を本拠地とする、ソシエダとビルバオの激突は「バスクダービー」と命名され、100年を超える歴史と伝統を誇る。ホームのレアレ・アレーナも間違いなく熱狂的な雰囲気に支配される。久保は決意とともに目が覚めたという。
「今日を自分の日にしなきゃいけないと思って起き上がりました。チームは公式戦で6連勝していましたが、個人的に必要だったゴールを決められていなかったので」
 実際にゴールを決めた直後。ユニフォームを脱ぎ、ファン・サポーターのもとへ駆け寄って喜びを爆発させた行為に対して、久保は今シーズン初のイエローカードをもらっている。球際で強くいけなくなったその後のプレーを、久保は反省材料にあげた。
「少しクレイジーになりすぎた。もっと自分自身をコントロールしないと」
 それでも後半15分には、相手のアバウトなバックパスに反応。ゴール前へ抜け出して、背後から久保を倒したDFジェライ・アルバレス(27)の一発退場とダメ押しのPKを誘発した。文句なしのマン・オブ・ザ・マッチに輝いた久保に対して、地元紙『noticias de Gipuzkoa』は10点満点中で9点の高評価を与えた上で次のように称賛した。
「彼は止まらなかった。あらゆるところに姿を現し、素晴らしいランニングからゴールを決め、相手の退場とPKも誘発した。並外れた存在だった」
 もっとも、久保にとってビルバオ戦はすでに過去のものになっていた。自身の調子のよさを認めつつも、ソシエダにかかわるすべての人々へ感謝しながら「驕ることなく、チームの勝利のために常に貢献していきたい」と心身をリセットさせる作業も忘れなかった。
 冷静沈着な視線は、短期的には古巣マジョルカと対戦する日本時間18日未明のスペイン国王杯ラウンド16へ。中期的には2013-14シーズンを最後に遠ざかっているソシエダのUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得へ。そして長期的には圧倒的な個の力を身にまとって臨む、3年後にアメリカ、カナダ、メキシコで共催される次回W杯へ向けられている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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