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女子ダブルスでボールガールへ球をぶつけ失格処分となっていた加藤未唯が混合ダブルスでグランドスラム初優勝を果たす(写真・AP/アフロ)
女子ダブルスでボールガールへ球をぶつけ失格処分となっていた加藤未唯が混合ダブルスでグランドスラム初優勝を果たす(写真・AP/アフロ)

「処分取り消しと賞金(約640万円)ポイントが戻るのを願う」全仏混合ダブルスで失意乗り越え優勝の加藤未唯が異例Vスピーチ

 会見に同席したプッツも「標準的な手順では、除外されていたと思う」と明言。出場継続が認められた配慮に感謝しながらこう語っている。
「ここに座っている彼女は、もう泣いていない。物語の最高の結末だ」
 そもそも、プッツとペアを組む予定もなかった。
 ドイツ紙の「WAZ」は「今大会のエントリーが締め切られる直前に、2人は混合ダブルスでペアを組むのを決めた」と、文字通りの急造ペアだったと伝えている。
「当初は2人とも別のパートナーと組む予定だったが、ともに大会エントリーに必要なランキングポイントの合計が不足していた。そこで加藤の当初のパートナーが、プッツに対して『彼女とプレーするのはどうだ』と声をかけたのがきっかけだった。ただ、加藤が英語をあまり話せない分だけ、コミュニケーションを取るのは困難を極めた。プッツも大会前の時点で『戦術や作戦はほとんどない。コートに立って、どうなるのかを見てみよう』と語っていた」
 混合ダブルスのエントリーを済ませたのは、締め切られる2分前だったという。同メディアによれば、お互いのポジションや走るルートについて、プッツは「1週間も話し合っていない」と笑い飛ばしていたという。それでも大会では快進撃が始まった。
 1回戦と2回戦をともにストレートで突破。直後に女子ダブルスでの失格があったが、翌日の準々決勝も、スーチャディとマトウィ・ミドルコープ(39、オランダ)組と顔を合わせた7日の準決勝もすべてストレートで撃破し、堂々の決勝進出を果たした。
 センターコートを舞台にした決勝戦。第1ゲームをいきなりブレークするなど、加藤・プッツ組は順調な滑り出しを見せた。しかし、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、持ち前のハードヒットを繰り出してくる相手ペアに押し込まれ始める。4-2で迎えた第7ゲームからは4連続でゲームを奪われ、5試合目にして初めてセットを落とした。
 続く第2セットでは第8ゲームを終えて4-4と、お互いにサービスゲームをキープしていた。迎えた第9ゲーム。ビーナスの強烈なサーブに対して、リターン役の加藤はトスが上がった瞬間に、ベースラインに後方へ大きく下がる頭脳的な作戦で対応する。力負けしないリターンで相手を惑わせ、最後は加藤が強烈なボレーを決めてブレークした。
 第10ゲームではプッツが2度のダブルフォルトを犯した。それでも強気な姿勢を貫く加藤のボレーが実に3度もさく裂。セットカウントを1-1にした。試合を重ねるごとに芽生えたプッツとのコミュニケーションを、加藤はこう語っている。
「(プッツは)いつも応援してくれて、元気づけてくれました。精神的にも辛かったなかで、本当に嬉しかった。なので、今日もセンターコートだからといって特別な思いなどはなく、いつも通りに強気でプレーできればと思って、試合に臨んでいました」

 

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