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阪神が広島にサヨナラ勝利。9年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた
阪神が広島にサヨナラ勝利。9年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた

阪神の岡田監督は不可思議なノイジー申告敬遠策に「先に(佐藤を)敬遠すると思ったけどな。(5番が)なめられとんな」…日本S進出に王手をかけたサヨナラ劇の裏にあった采配力の差

 CSファイナルステージの第2戦が19日、甲子園球場で行われ、阪神が広島に9回二死満塁から木浪聖也(29)のライト前タイムリーでサヨナラ勝利した。アドバンテージの1勝を含めて対戦成績が3勝0敗となり9年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。岡田彰布監督(65)は「しのいで勝つ」と勝負の行方を読み、不調だった先発の伊藤将司(27)を7回も続投させ、8回からは決死の継投で勝ち越しを許さずにサヨナラ機を演出した。一方の新井貴浩監督(46)は9回一死二塁で佐藤輝明(24)と勝負して、二死二塁からシェルドン・ノイジー(28)を申告敬遠するという不可解な采配で延長戦に引きずりこむことができなかった。両軍監督の采配力の差が接戦に明暗を分けることになった。

 悩める大山に「センターへ打て!」

 岡田監督のメッセージを持って水口打撃コーチがネクストバッターズサークルにいる大山に近づいた。
「センターへ打て!」
 1-1で迎えた9回一死。ここまで2試合でノーヒット。最高出塁率タイトルをとった4番打者が“逆シリーズ男”の汚名をこうむりかけていた。
「どんどんストライクが来るので、フォアボールを選べない。結構早打ちで行った」と、岡田監督は、第1戦に続き、ファーストストライクからの仕掛けを許可していた。
 大山は、第1打席は初球の外角低めのストレートを打ってショートゴロ、第2打席は2球目の外角のカットボールに手を出してセカンドゴロ。第3打席も初球の外角スライダーを打たされて一塁ファウルフライ。積極性が裏目に出ていた。
「引っ張ってばっか。全部アウトコースや。シーズンではインコースでやられているのを知ってるから、ちょっと違った攻め方してくるよな。短期決戦やしな。でも大山は修正できてへんかったんや」
 広島バッテリーには傾向を研究されていた。みかねた岡田監督は、センターを意識させることで、その外角攻めに対応できるようにワンポイントアドバイスを送ったのである。
 カウント1-1からカープの“守護神”栗林が投じた外角高めのカットボールだった。センターを意識したことで、そのボールに対応できた。大山の打球は、右中間を真っ二つ。サヨナラ機を演出するツーベースとなったのである。
 一塁が空いていた。次打者は佐藤。サヨナラのケースでの通常セオリーは、守りやすさと併殺打を狙えることもあって、佐藤を申告敬遠して塁を埋めてノイジー勝負である。だが、新井監督が打った手は、サトテルとの勝負だった。「むちゃくちゃやる」と宣言した新井監督は、またセオリーに反する不可解な采配をしてきた。
「先に(佐藤を)敬遠すると思ったけどな。まだ(佐藤がノイジーより打ち取りやすいと)なめられとんな。せやろ。5番やで」
 岡田監督は新井監督の采配をそう受け止めていた。
 佐藤は三振。二死二塁となってから広島ベンチはノイジーを申告敬遠で歩かせた。次打者は坂本。粗さがあるノイジーよりも粘りのある坂本との対戦を選択した。
 新井監督の作戦は、うまく運ぶかのように思われたが、こういう勝負手は、ひとつ裏目に出ると、すべての歯車を狂わせることになる。

 

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