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阪神の村上頌樹が今季初登板でまさかの3回5失点KO(資料写真・黒田史夫)
阪神の村上頌樹が今季初登板でまさかの3回5失点KO(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神の“3冠”村上頌樹は横浜DeNAに3回5失点KOされたのか…ピーキングのミスとシュート回転してしまっていた魔球

 阪神が2日、京セラドーム大阪で行われた横浜DeNA戦に3-5で敗れ、1勝3敗で最下位に沈んだ。誤算だったのは昨年の最優秀防御率タイトル&MVPの村上頌樹(25)が3回5失点で降板した乱調。自慢の制球が乱れて1回に4失点して主導権を横浜DeNAに渡した。「守り勝つ」のが岡田野球だが、佐藤輝明(25)がタイムリーエラーをするなどエースの足を引っ張った。2イニングを無失点に抑えた門別啓人(19)の快投や9回に代打でヒットを放ち簡単に敗戦を受け入れなかった前川右京(20)など黒星の中に光明もあった。

 痛恨のサトテルのタイムリーエラー

 

 誰がこの光景を想像できたか。
 昨季のMVP&最優秀防御率&新人王で、事実上のエース格となる「火曜日の男」に指名された村上が京セラドーム大阪のマウンドで表情を曇らせた。
 開幕カードで2本塁打5打点と勢いに乗る横浜DeNAのスーパールーキーの度会に対して、初球こそ151キロを表示したストレートでストライクを取ったが、そこからは、投げた瞬間にボールとわかる低めの球が4つ続いた。ほぼ坂本が構えたミットにぶれずにボールを投げ込むことで昨季覚醒した村上にとって異変と言っていい制球の乱れだった。
 一死をとってから佐野に150キロのストレートをライト前へもっていかれた。打球は詰まっていたが、内角を突くはずが、ボールひとつ分中へ入り、しかも、昨季、魔球と恐れられたナチュラルなスライダー回転がなく、むしろシュート回転していた。
 そして苦しい村上を援護しなければならないバックが守りで足を引っ張った。一死一、三塁で牧の三塁正面への強烈なゴロを佐藤がなんとグラブに当てて前へ弾いたのだ。併殺でチェンジのところがタイムリーエラーとなって、さらに宮崎に甘く浮いたストレートをライト前へ運ばれ、満塁にピンチが広がった。
 関根は一塁フライに打ち取ったが、7番打者の山本にファウルで5球も粘られ、9球目の外角へ投じた152キロのストレートがベルト付近に浮いた。芯でとらえられた打球は右中間を真っ二つに割り、走者一掃のタイムリー三塁打となってしまった。
 1回にまさかの4失点…。村上は3回にも3安打を浴びるなどして1点を失い、岡田監督は3回裏に村上に打席が回ってくると代打を送った。
 スポーツ各紙の報道によると、岡田監督は、「ブルペンから良くなかったっていうてたけどな。先頭バッターにフォアボールなんて初めてやろ。佐藤のミス?ゲッツーやろ」と嘆いたという。
 阪神OBの1人は「ナチュラルにカットするはずのストレートがシュートしていた。ストライクゾーンを立体的に使えなくなった。びっくりするくらいにコントロールが悪かった。自分でも調子が悪いことをわかっているから、よけいに力んで本来の形で投げられていないのだろう。153キロが出ていても村上の場合はコントロールだからねえ。佐藤のエラーはハンドリングのミスだが、足が一歩動いていなかったことと捕球態勢が作れていなかったことに尽きる」と分析した。
沖縄キャンプの第1クールが終わった時点で、岡田監督は村上の仕上がりの早さに驚きを隠さなかった。
「もう仕上がっているやん。変化球もコントロールも。明日開幕でもいけんのとちゃうか」
 タイトルを獲得した村上が実質2年目となる今季にかける意欲の表れだった。

 

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