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WBAフライ級王座に挑戦するユーリ阿久井(写真・山口裕朗)
WBAフライ級王座に挑戦するユーリ阿久井(写真・山口裕朗)

ボクシング“不毛の地”岡山から世界王者は誕生するのか…1.23大阪でユーリ阿久井と苦節37年の守安会長が挑む世界ベルト

 実は、ユーリの父の阿久井一彦氏(59)は、倉敷守安ジム(当時守安ジム)のプロ第1号。戦績は30戦13勝(3KO)15敗2分で、日本スーパーフライ級2位までいった。また母の弟が元世界王者の飯田覚士氏や山口圭司氏との対戦経験のある赤沢貴之氏(51)で、その赤沢氏も、また倉敷守安ジムの出身。父は2001年に37歳で引退したが、そのラストマッチを当時5歳だったユーリはリングサイドで見た。その記憶が、のちにボクシングを始めるきっかけのひとつになったという。

 王者のダラキアンは戦時下にあるウクライナからやってくる6度防衛中の無敗の強敵だ。一発の怖さはないが、足を巧に使い、的を絞らせずに変幻自在なパンチを繰り出して確実にポイントを稼ぐ、試合巧者。接近戦に活路を見出だそうとしてもクリンチワークがうまくていなされる。倒されることはないだろうが、何か策を練らなければ、空回りしてポイントを失い続ける危険性がある。
 ユーリも、それを理解している。
「やりにくさ、変則的なタイミング。それに気をつけて、いかに自分の間合いに引き込めるか。うまくコントロールされないようにしたい」
 突破口はKOを量産してきた“伝家の宝刀”の右ストレートだ。
 そのパンチ力の源泉は「そんなに強いと思ったことはないが、父が筋肉質でパンチがあった。それじゃないか」と自己分析。ここまで18勝中11KOだが、そのうち9試合が1ラウンドKOだ。1ラウンドに何かを起こせるのが、ユーリの特徴であり最大の武器。約1年の試合のブランクがあり、しかも初めて踏む敵地大阪のリングにダラキアンがまだ慣れていない間に、電撃的な勝負を仕掛けられれば面白い。
「気がついたら向こうが引き込まれているという感じにしたい。これは倒してきたすべての試合に言えることだけど相手が勝手に来て倒れるんです。自分で倒しにいこうとは思っていない。それを作れるかどうか。自信はある」
 逃げが得意の相手を“ユーリワールド”にいかに誘いこむか。

 

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