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阪神の湯浅が2軍降格となった(写真・黒田史夫)
阪神の湯浅が2軍降格となった(写真・黒田史夫)

阪神の岡田監督と中日の立浪監督を悩ますWBCが縁のメジャー流フォーム改造…湯浅京己は“2軍落ち”で高橋宏斗は元の鞘へ

 メジャー流のフォーム改造の問題は中日でも起きていた。立浪監督がローテーの軸として期待している4年目の高橋が、合同自主トレで影響を受けたドジャース山本由伸流のすり足のクイック投法に変わっていたのである。昨年もブルペン初日に山本由伸のコピーのような投球フォームを見せた高橋に、立浪監督は驚き、すぐ元のフォームに戻すように指令した。今季は、しばらく黙認したが、立浪監督や首脳陣が総出で必ず高橋のブルペン投球を見守っていた。
 結局、思うようにフォーム改造は進まず、元に戻すことになった。それでも元に戻す作業も簡単ではなく、オープン戦初登板となったこの日の広島戦では、まだバランスが悪く、本来の制球力やボールの走りを取り戻すことができていなかった。
 中日で臨時投手コーチを務めている今中慎二氏は、「どんなフォームになってもいいんだけど、結局一番大切なのは、打者から、そのボールがどう見えるかなんですよ。ブルペンでどれだけ素晴らしいボールがいっていても、打席で打者がタイミングを合わせやすい、打ちやすいボールなら意味がない」と問題提起していた。
 実際、立浪監督は自らブルペンで打席に入って、その新フォームから繰り出されるボールをチェックしていた。山本由伸はすり足のクイック投法した際にも、なんら問題もなく同じような結果を出していたが、体格も能力も違う高橋が同じようにできるとは限らない。またこの新フォームは肩肘に負担がかからないとされるが、今中氏は「投げる際のタイミングが合う合わないの問題もあり、そこがスムーズにいかないボールが多いのであれば、負担は減らない。必ずしもこのフォームにすれば故障不安が減るというわけではない」と否定的だった。
 そして今中氏はこうも語っていた。
「とりあえず色々試していてうまくいかなければ元に戻せばいいだけの話だが、その時期は、2月20日がリミットやろうね。そこを越えると、元に戻すにも調整が開幕に間に合わなくなる」
 高橋はギリギリのタイミングで元に戻すことを決意した。
 2軍調整となった湯浅がフォームを元に戻すのか、今の取り組むを押し通すのかはわからない。動作解析上では、肩肘への負担が減り、最大の出力を得ることができるフォームであっても、今中氏が指摘するように「打者から見てどうか」の判断でいえば、現状のフォームでは明らかに打者がタイミングがとりやすくなっている。150キロ超のボールでも空振りが奪えず痛打されるケースが目立つ。おそらく岡田監督は「元に戻せ!」とは言わないだろう。コーチは、指導、相談はするが、最終的な判断は、あくまでも個人に委ねられる。最先端を追い求めることが、イコール、結果につながるわけではないジレンマに、選手と彼らをマネジメントする立場にある指導者は、どう向かい合うことがベストなのだろうか。
(文責・RONSPO編集部)

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