阪神の岡田監督は5日のヤクルト戦から取材拒否に入った(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督は5日のヤクルト戦から取材拒否に入った(写真・黒田史夫)

なぜ阪神の岡田監督は取材拒否をしているのか?

 岡田監督は、その理由をこう説明していた。
「なんで『そりゃそうよ』と言わなくなったかわかるか。記者の勉強不足よ。前回の監督時には、記者が質問で、こっちの考えている通りのことを言ってくるから『そりゃそうよ』と相槌を打つしかなかったわけや。でも今回、阪神で15年ぶりにユニホームを着て記者とやりとりをしてみると、こちらから聞き出すばかりで自分の意見を言わない。ちゃんと野球を知っている記者も中にはいるけどな。野球を知らん記者が多すぎるんよ」
 繰り返すが「レコーダーを使うな」と伝えたのも「考えよ」という岡田監督からのメッセージだったわけである。
 ただ筆者も囲み会見を聞かせてもらう機会があるが、今キャンプからは、昨年とは番記者のメンバーも変わって非常にスムーズに取材が進んでいるとの印象を受けた。
 沖縄では囲み会見が30分以上に至るときもあった。それだけ岡田監督と記者団との信頼感が高まっている証拠だった。関西のスポーツメディアにとってメインディッシュの阪神を取り扱う虎番記者にはよりすぐりの精鋭記者が送りこまれている。監督の番記者のレベルも高い。
 それでも続けて取材拒否が起きる理由は、岡田監督が指摘する「勉強不足」ではなく「取材不足」だと感じる。常識でははかりしれない岡田監督の思考を読み取ることは難しい。ただ取材を深めて何を考えているかを理解すれば、言葉や采配の意図を感じ取ることはできる。岡田監督のコメントのほとんどは本音だが、ときには本音に反してチームへ向けてのメッセージ、あるいは対戦チームへの陽動作戦として語る言葉もある。それだけにそこが間違って伝わることだけは我慢ならないのだろう。
 今日9日からは甲子園で広島と3連戦。ホームゲームではテレビ向けの恒例の勝利監督インタビューがある。さすがにテレビにまで取材拒否はしないので自然と取材解禁の流れになるだろうが、虎ファンは初戦を取って4日ぶりの岡田語録に耳を傾けたいに違いない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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