阪神の岡田監督は5日のヤクルト戦から取材拒否に入った(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督は5日のヤクルト戦から取材拒否に入った(写真・黒田史夫)

なぜ阪神の岡田監督は取材拒否をしているのか?

 そもそもの“伏線”は2月23日の一部報道にあった。巨人とのオープン戦に阪神は4-9で完敗した。試合後の囲み取材を終えた監督は、迎えの車に乗る瞬間に、後部座席に帽子を叩きつけた。その行為をまるで負けたことに対して悔しがる指揮官の姿の象徴として報じられたのだ。岡田監督が帽子を投げつけたのは事実だ。だが、互いにボーダーラインの若手を起用したオープン戦である。そこで巨人に敗れたことに何の感情もない。この日は、先発の伊藤将がまさかの7失点したが、これも調整段階である。では何に怒ったのか。囲み取材で最後に投げかけられた報道陣の質問に怒りが収まらなかったのが真相だった。デイリースポーツによると「まだメンバーはそろってはいないが、巨人の印象は?」の質問に「いや、こんなメンバーで知らんやん。そんなん、きょう1試合で何で総括せなあかんの」と返答している。不快感をあらわにして席を立ったという。
 メディアからするとオープン戦とはいえど今季初対戦の巨人の印象を聞くのは必須の質問事項だった。だが、岡田監督からすれば、阿部新監督が描く今季の巨人像がまるで見えないメンバー相手のオープン戦では印象の語りようがなかった。関西メディアへの不信感という名のギャップが徐々に開きだして3月16日のオープン戦の中日戦後の報道を巡って今季一発目の取材拒否に至る。この試合で岡田監督は佐藤をスタメンから外した、森下と共に疲労の蓄積などを考えて当初からスタメンから外すことは計画されていた。デイリースポーツによると試合後に佐藤の欠場理由について聞かれた岡田監督は「なんでや。使わなあかんの? なんでそこまで言わなあかんの。選手起用まで言われたらかなわんわ」と、またいら立ちを隠さなかった。
 佐藤が、打率.128と低迷していたため一部スポーツ紙が岡田監督が佐藤を欠場させたことのメッセージを読み解こうとする考察記事を掲載したが、その内容が的外れで岡田監督を激怒させた。
 この時はすぐに取材拒否は解除されたが、それらの積りに積もった不信感が横浜DeNAとの3連戦が1勝2敗に終わった後の記事で爆発したというわけである。
 岡田監督は2005年にリーグ優勝した前監督時代に「そりゃそうよ」という代名詞的なフレーズを使っていた。だが、今回の監督就任でクローズアップされたのは「おーん」という“接続詞”。「そりゃそうよ」という言葉は、ほぼ使わなくなった。

 

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