父の真吾トレーナーが尚弥の勝利を称える(写真・山口裕朗)
「峠を越えた?今がピーク。年下なんかに負けられない」なぜ井上尚弥は中谷潤人に「たられば」を許さなかったか…“名参謀”真吾トレーナーに聞く真実…あの「ハロー?ソーリー」事件の真相も
中谷は強かったのか。
それが3つ目の質問だった。
「無敗で来ている3階級チャンピオン。弱いわけないじゃないですか。公開練習、計量と見て(バンタム級初戦の)昨年末のサウジの試合に比べて体も大きくなっていた」
実際「タイミングの怖い左のパンチが2、3発あった」という。
「かする感じだったがポイントにつながったパンチもあった。いきなり一発で入ろうとすると、合わせられる。だから圧をかける動きを入れた上でフェイントを必ずかけろと、注意深く言っていた」
しかし真吾トレーナーは中谷の「すべてが想定内だった」という。
また中谷がサイドへ動き回ることで正確なKOパンチを当てることに苦慮した。サウスポー特有の動きだ。年末のセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)戦での「真っ直ぐ下がる」課題を克服してきていた。
しかしそれも想定内だった。
「今回呼んでもらったパートナーの一人にむちゃくちゃ動くとんでもない逃げ足のメキシコ人がいたんです。これをつかまえておけば動かれてもポイントが取れると考えて練習で攻略しました。背の高いタイプ、スピードタイプ、パワータイプ、いろんなパートナーを呼んでもらい、その一人一人をスパーリングで攻略しました。だから中谷選手がどういうパターンで来ても準備はできていたんです」
この日、リング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングで、これまで1位だったオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)を抜き、尚弥が1位に返り咲いた。
「やりましたね。本当に凄いこと」
真吾トレーナーの疲れが少しは和らいだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

