それ何?「孤独だった」と告白した那須川天心の井上拓真との再戦勝利テーマは「キレキレではなくヌルヌル」?!「やられる覚悟がやる覚悟。刺しにいく」パフォーマンス封印で本当に勝てるのか?
葛西トレーナーはこう続ける。
「天心はやっているうちに体で相手のパターンを覚える。今回は1度戦った記録がある。13ラウンド目という感じでいける、慎重にいくが、長いジャブだけは確認している。間合いは違う。それ以外のパターンもいっぱいある。自分からプレスもできる。(井岡戦から)拓真選手のパンチ力は上がっているが、猛攻がきたときに耐えられるボクシングもできている」
天心の弱点は、距離をつめた打撃戦だ。そこに取り組み、スパーでやられたのか、これまで目に青タンが残っていたことがある。
「パートナーのリターンがめちゃ速くて手こずった。でももらうけど、ひるまず一緒に打ちこむ。本人は(タイミングを)つかんだって言っている。接近戦は前回からやっている。井上チャンプの逆をとること、近い距離でも反射神経を生かすことができている。相手を吹き飛ばすパンチが自然に出るようになった。一生懸命やって競り勝って欲しい」
葛西トレーナーが想定するのは判定勝利。
そしてトータルで20から30個も用意してきた拓真対策をミット打ちで使う「合言葉」を交えてLINEで天心に送ったという。
前回の対戦では大橋秀行会長をボスに、父の井上真吾トレーナー、兄のスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥、今回も視察に訪れた浩樹ら井上家の結束に敗れたと言っていい。準備、そして試合中の戦術変更の指示など、すべてで拓真陣営が上回っていた。
天心は素直にそれを認めた。
「そこは凄く感じた。孤独というかね」
孤独という言葉を使った。
「生きていても割と孤独になることが多いが、その孤独の先にまたたくさん孤独な人がいて、そういう人たちが同士になる。友達が欲しいわけじゃないが、たくさんの仲間というものが今回の試合に向けて芽生え、点と点が線にになってきた。ボクシングを初めて見た人、自分のことを格闘技以外で知った人、興味ない人でも“なんかこいついいな”と思ったらその気持ちを分けてくれたら嬉しい。だから今回それが凄くまとまっている気持ちがある」
葛西トレーナーとコンビを復活させ、数々の王者を生み出しているキックボクシングジム「TEPPENキックボクシング&フィットネスGYM」を経営している父の弘幸さんにも指導を受けるなど、あの時とは違うチームを結成し、エストラーダ戦で結果を出した。天心は「自分の中での人生初のリベンジ。正直、自信を持って100%勝てるかと言われたら、そう思えない自分がいたりとかする時もあった。逃げ出したいこともあった」という葛藤を周囲のサポートに支えられ乗り越えてきた。
「本当に1人じゃないんだと改めて思えた日々だった」
そして到達したのが日常生活から意識づけてきた「絶対に引かない」「自分に負けない」という境地だ。
視察した浩樹も「前回は(天心は)個の気持ちがあった。今回は支えてくれる人がいて、チーム対チームなんだという気持ちになってきた。すごくいい変化」と警戒心を強めた。
だが、戦前の予想は天心不利。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズは拓真勝利が1.36倍、天心勝利が3倍。5月2日の初防衛戦で、拓真が元4階級制覇王者の井岡一翔(志成)から2度ダウンを奪い、ほぼ完封勝利した試合内容がさらに天心不利の予想を強くしている。

