那須川天心は井上拓真「絶対有利」の「幻想をかき乱す」ことができるのか…リベンジに”サプライズ奇襲”必要も井上尚弥が「めちゃ怖い顔」で計量見守った”最強結束”井上家は「想定内」
天心は幻想と称した「絶対不利」の予想覆すことができるのか。
帝拳OBで元3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦った男として知られる元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(大阪吹田で中谷ボクシングフィットネスクラブを経営)は「天心が前回と同じ戦い方をすれば厳しい結果に」とシビアな見方をしている。
判定で敗れた昨年11月の第1戦を見返してもらったが「1、2ラウンドは天心ペース。だが、3ラウンド以降に拓真にプレスを強められると、ブレが生まれた。拓真を見て下さい。アタックもディフェンスも体がブレていないでしょう。一方の天心は対応できずに下がらされて体幹がブレ、終盤になんとか取り返そうとパンチが大振りになり、さらにブレるので、全部パンチを見切られ、確実にリターンをヒットされている。またインファイトでは、アッパーを食らうなど、ほぼ対応できていなかった」と敗因を分析した。
ただ4月にTKO勝利した元2階級制覇王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)戦では、天心のスタイルが一変したという。
「重心が下がってステップインが鋭くなった。パンチに体重が乗っている。下半身が安定して攻守にわたったブレがなくなった。よりボクサーらしくなった。ただ天心の持ち味だったキックボクサー時代に培った天才的で予想できないような上半身の使い方や動きまでなくなっている。そうなると井岡戦でさらに自信をつけた拓真は、前回よりも対応しやすくなりますよ」
だが、中谷氏は「戦略によっては天心に勝機はある」と踏んでいる。
「1ラウンドから前へ出てのサプライズ奇襲しかない。大橋ジムの川島さんが徳山さんに勝った試合、村田さんがロブ・ブラントと再戦して勝った試合が参考になるんじゃないですか」
大橋ジムの世界王者第1号である川嶋勝重氏は、2003年6月に大差判定で敗れたWBC世界スーパーバンタム級王者、徳山昌守氏(金沢)との1年後の再戦で1ラウンドに奇襲を仕掛て右ストレートでダウンを奪い、立ち上がってきた徳山にラッシュをかけて衝撃の1ラウンドTKO勝利でリベンジに成功した。天心のジムの先輩になる元WBA世界ミドル級ス―パー王者の村田諒太も2018年10月のラスベガスでのロブ・ブラント(米国)との防衛戦でアウトボクシングに翻弄されて判定負けを喫したが、翌年の7月に大阪で1ラウンドから猛攻を仕掛けて2ラウンドにTKO勝利している。いずれも再戦の成功例は1ラウンドの奇襲だった。
「拓真の唯一の弱点はスロースターターである点。石田にも1ラウンドにダウンを奪われてるし、天心との初戦も1、2ラウンドはポイントを失った。井岡戦でも2ラウンドに奪った衝撃的なダウンがなければ1ラウンドに続き2ラウンドもポイントを失っていた。1ラウンドから3ラウンドに猛攻を仕掛けてKOはできずともダウンを奪うことができれば、その流れと、ジャッジへの印象で5,6ラウンドくらいまではポイントでリードできますよ。そこからは得意のアウトボクシングで空回りさせて僅差の判定勝利をつかむというシナリオはあるんじゃないですか。ただその奇襲は半端ではダメ。思い切り踏み込んでいける勇気があるかどうか」

