なぜ阪神の藤川監督は故障歴のある高橋遥人を巨人との開幕第2戦に完封させたのか…7人ローテー構想と「膝に当たった打球が大山の前に跳ね返りアウトになった運」
阪神が28日、東京ドームで巨人を2-0で下して今季初勝利をあげた。プロ9年目にして初めて開幕ローテー入りした高橋遥人(30)が112球を投げ3安打6奪三振2四球の素晴らしい投球内容で、2021年10月2日の中日戦以来、5年ぶり3度目の完封勝利をマークした。8回に打球を左膝に受けるアクシデントもあった故障歴のある高橋をなぜ藤川球児監督(45)は9回のマウンドに送ったのか。
「アドレナリンが出ました」
珍しいシーンだった。
2点リードで迎えた9回。二死二、三塁のピンチにファウルで粘られた岸田を低めのツーシームで空振りの三振に打ち取った。その瞬間、高橋はくるっと打者に背を向け、ガッツポーズと共に雄叫びをあげたのだ。
高橋がここまで感情を露わにすることはあまりない。
「アドレナリンが出ました…はい」
それもそうだろう。112球の完封勝利。その喜びを味わうのは5年ぶりだ。しかもチームに今季初勝利を導いた。
「出来すぎな部分もあるし、危ない打球もあった。みんなに守ってもらって伏見さんに引っ張ってもらった。みんなのおかげかなと思います」
高橋はマスクをかぶった伏見に感謝を示した。
5回一死までパーフェクト。そこから岸田の投手強襲の打球を弾き、続く坂本に変化球をうまく拾われて一、二塁のピンチを招くも、増田をワンバウンドになるほど落ちたツーシームでスイングアウト。中山も丁寧に低めに投じたツーシームでセカンドゴロに打ち取りピンチを脱した。
6、7回とヒットを許さなかったが、8回にアクシデントに襲われた。一死から中山のピッチャーゴロを捕り損ねて打球が左膝を直撃したのだ。ラッキーにも、打球が跳ね返った先が一塁の大山の正面。大山はベースに滑り込んでアウトにしたが、高橋は治療のためベンチ裏に下がった。球数は89球だったこともあり交代かと思われたが、高橋はマウンドに戻り、代打の丸を一塁ゴロに打ち取った。
そして9回表に高橋はベンチで打席に立つ準備を始めた。安藤投手チーフコーチが何やら話かけていた。おそらく膝の状態を確かめたのだろう。高橋は、そのまま打席に向かい、三振に終わるも、その裏もマウンドに上がったのだ。
先頭のキャベッジにレフト前ヒットを許して、続く松本はショートゴロに打ち取るも打球が弱かったため、得点圏に走者が進んだ。そして泉口にはストレートの四球。もう限界かとも思われたが、藤川監督は動かない。一発が出ればサヨナラというピンチで新外国人のダルベックを迎えた。高橋はここでも恐れず内角をつきカウントを作る。最後はボールゾーンへのツーシームを引っ掛けさせた。
そして昨年も打率.333と高橋に相性がよく、この日も2度の出塁を許していた岸田を三振に仕留めたのである。
中継局が伝えた談話によると阿部監督は「いいピッチングをされた。そのままです」と3安打しか奪えなかった高橋に完敗を認めたという。
高橋は過去に5度、肘、肩、手首などにメスを入れた。これまでのオフは、ほぼリハビリに費やしてきた。万全のオフを過ごして開幕からローテーに入ったのはプロ9年目にして初。まだ開幕2戦目の春先に無理をさせるところではない。しかも、左膝に打球も受けている。なのになぜ藤川監督は、高橋に完封させたのか。

