4.29「ONE SAMURAI 1」引退マッチ武尊にロッタンが「1、2ラウンドはボクシングだけで勝負しろ!」と異例の挑発…「どんな戦いでもKOで勝つ」とアンサーのカリスマは受けるのか?
アジア最大の格闘技団体「ONE Championship」が開催する「ONE SAMURAI 1」(4月29日・有明アリーナ)の「プレスカンファレンス&オープンワークアウト」が24日、都内で行われ、メインのONEフライ級キックボクシング暫定王座決定戦で対戦する武尊(34、team VASILEUS)をロッタン・ジットムアンノン(28、タイ)が挑発し前哨戦に火花を散らした。昨年3月に”秒殺”で敗れたロッタンとの再戦を最後に引退する武尊は「自分の物語の最終章。最後のピースとして必要なベルトを取って現役生活を終えたい」と宣言した。

「何ラウンドくらいに決着がつくと思っている?」
仕掛けたのは昨年3月の前戦で武尊を秒殺したロッタンの方だった。
公式会見でこう投げかけた。
「武尊の最後の対戦相手に選んでもらったことを嬉しく思う。見ごたえのある試合になることは間違いない。ところで武尊に質問がある。何ラウンドくらいで決着がつくと思っている?2ラウンドまでに終わるか」
試合は3分×5ラウンド。
武尊は記者でもないロッタンからの質問に困惑の表情を浮かべた。
「質問の意図がよくわからない。戦いには何があるかわからない。1ラウンドで決着が付くこともある。どんな戦いでも必ずKOして勝つ」
同時通訳で武尊の返答を聞き、ニタっと笑ったロッタンは、続けて2つ目の質問をした。
「2ラウンド以内で終わらせることができるなら、それは国際式ボクシングのような戦いになるのか」
この場にいた筆者も何を聞きたいのかよくわからなかった。
国際式ボクシングとはタイ人がムエタイと識別してそう呼ぶボクシングのことだ。
もちろん武尊はさらに困惑した様子でこうアンサーした。
「国際式って…よくわからないけれど、僕とロッタンはファイトスタイルが噛み合う。1ラウンドから何が起こるかわからない試合になる。早期決着もある。倒すことには変わらない。倒します」
無視してもいいところをちゃんと返答するのが、武尊の誠実で真面目な性格。だが、ロッタンが何を言いたかったか、何を挑発したかが、公開練習の後の発言で明らかになる。
「1ラウンド、2ラウンドは、国際式ボクシングで戦う。2ラウンドまでに勝負がつかなければ、3、4、5ラウンドはキックに切り替える」
つまり1、2ラウンドは、キックを封印したボクシングだけで勝負してやるが、おまえはどうする?それで2ラウンドまでに勝てるか?と挑発していたのである。
ロッタンはONEとの契約に不満を抱き訴訟問題で揉めていたはずなのに直前に和解した。ロッタンは何事もなかったように闘志を剥きだしにした。それだけ自信があるという証だろう。
ロッタンは、こうも言葉にしている。
「すべての試合が大事だがその中でも今回は武尊の引退試合ということもあり特に大事な試合になる。武尊と再戦したいと思っていた。今回は自分が勝つことは間違いない。ベルトをタイに持ち帰る自信がある」
昨年3月の「ONE172」で行われた前戦で武尊はロッタンに1ラウンド80秒でTKO負け。武尊が攻撃に出るときにガードが甘くなるという隙をつかれた、ショートの左フックのカウンターでアゴをピンポイントで打ち抜かれた。実は武尊は試合の2週間前のスパーリングで肋骨と胸骨を骨折して全治7週間の診断を下されていた。
武尊は那須川天心との「THE MATCH」でもダウンを喫しているが、ここでも攻撃優先でディフェンスがないがしろになり、そこにカウンターを合わされた。
この日の公開練習でロッタンのパンチには派手さはなかったが、すべてがコンパクトだった。小さく内側から先に当てる。その意識が見え隠れしていた。ロッタンにはボクシングだけの勝負でカウンターを合わせる自信があるのだろう。フェイスオフではグイグイと自分から額を武尊に押し付け、武尊も譲らず、緊迫した空気が張り詰めた。

