「成長?ない。練習量が少ないんよ」辰吉丈一郎が次男の寿以輝が西日本新人王を倒せず2-0判定勝利に終わった再起第3戦にダメ出しをした理由とは…「タイトル挑戦?あかんやろ」
プロボクシングの元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎(56)の次男で日本スーパーバンタム級7位の辰吉寿以輝(30、大阪帝拳)が9日、大阪の天満橋エル・シアターで行われた56キロ契約ノンタイトル8回戦で昨年の西日本新人王の豊永太我(21、WOZ)に2-0(77―75が2人、76-76)判定で勝利した。試合後、父の丈一郎は「(成長は)ない。次タイトル?あかんやろ」と厳しい“ダメ出し”をした。

やはりカリスマの遺伝子には逆らえない。
寿以輝は第1ラウンドから気迫をむき出しにした。
9歳年下。長身でリーチでも劣る2025年の西日本新人王にプレスをかけて前へ出る。ジャブで様子を見ることもなく勇気を持って距離をつめてインサイドから左ボディから左フック、左、右、左のコンビネーションブローを振り回した。
「倒しにいくつもりはなかった。向こうもやる気満々。先輩として応えなあかん」
ラウンドの終了間際には、ダッキングとスウェーでひょいひょいとパンチを外した。父の丈一郎が全盛期に観客を沸かせたテクニックだ。
ほぼ満員。800人の辰吉ファンで埋まったエル・シアターがヒートアップした。
2ラウンドはスピードとリズムに乗ったジャブで支配した。左のフックをダブルで打ち込み、もう完全に寿以輝ぺースだった。
「左ガードね」
フィリピン人トレーナーのアトン・レチェル・ベディダ氏が、前のめりになっていた寿以輝のディフェンスに釘を刺す。パンチは見えていたが、3、4、5ラウンドと、気持ちが出過ぎて空回りし、距離を取られると手数も減った。
ジャッジの3者は3、5ラウンドと豊永を支持した。
「プレス、プレス、プレス」
トレーナーの声が響く。
6ラウンドから再び寿以輝はジャブを上下に打ち分けながら左の強烈なボディアッパーから右のショートブローの対角線のコンビネーションを使いながら前へ出た。最終ラウンドは、寿以輝の圧力に押されて豊永が崩れ落ちるシーンもあったが、タイミングのいいパンチを放っておらず、スリップの判定。結局、決定的な一打を打ち込むことができないまま試合終了のゴングを聞くことになった。
判定は1人が76-76のドロー。2人が77―75の2-0判定勝利だった。
「全然ダメ。負けはないと思ったけど、判定なんで3-0も2-0も一緒。判定に文句はない。嫌われているんでしょう」
筆者の採点で寿以輝が失ったのは3ラウンドと5ラウンドだけ。ほぼワンサイドだったが、KO決着できなかったことに悔いが残る。
控室では反省ばかりが口をついた。
「ボディに手応えはあったけど、フックは一発になってしまった。ボディからつなげて倒したかったが、突破口のパンチを狙いすぎた。ジャブからの組み立てが一番よかったんだけど、もっと詰め方があった」
厳しいダメ出しをしたのは、リングサイドから鋭い目線を送っていた今なお現役ボクサーの父、丈一郎だった。
「成長?ない」
辰吉節でズバっと斬り捨てた。
「2-0判定?こんなもん。判定になったら、ああだ、こうだ言われる。だからKOばかり考えとったんやろ。倒したい気持ちはわかるが、あからさまに出しすぎ。捨てパンチがあるかないか知らんけど、もっと、おちょくらんと。全部が真面目やねん。もっと遊びが欲しいんよ。余裕がない。強いパンチを打てば倒せると思っているから大きなパンチになる」

