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また9回にヤクルトのマクガフが背信。高津采配が裏目に出た(資料写真)
また9回にヤクルトのマクガフが背信。高津采配が裏目に出た(資料写真)

なぜオリックスは3連勝で26年ぶりの日本一へ王手をかけることができたのか…深謀遠慮の中嶋采配と高津監督の誤算

 対照的にヤクルトは、庭である神宮でミスを続けた。
 6回に許した先取点ではバッテリーの配球に問題があった。
 小川は、第1戦に比べて調子は上向きで、そのストレートに威力があったが、うってかわって変化球主体のピッチングに切り替えてオリックス打線を翻弄し、5回まで無失点に封じ込んでいた。
 だが、6回に中嶋監督が1番に抜擢した太田に三遊間をヒットを許し、宗にバントで送られ、一死二塁。中川はストレートでキャッチャーファウルフライに打ち取り、吉田正を申告敬遠したが、シリーズで調子の上がってこない杉本に均衡を破るライト前タイムリーを打たれた。
 小川―中村のバッテリーは、ここまでの配球とは一転、杉本に全球ストレートで挑んだ。しかも、2、3球目とインコースを続けて攻めていた。杉本の弱点は、そこにあり、4球目も中村はインコースにミットを構えていたが、小川が制球ミス。ストレートが真ん中へ入った。インコースのストレートを意識させた相手に、同じ球種が甘く入るとアジャストされる。紙一重の勝負だったが、まだカウントは1-2である。ミスを犯すリスクの少ない配球を選択すべきだったのかもしれない。
 ID野球をヤクルトに浸透させた故・野村克也氏は「弱点は徹底して攻めよ」と教えたが「同じ球種を3球以上続けるときは要注意」とも教えていた。
 そして1点ビハインドで迎えた9回である。
 高津監督は守護神のマクガフを送り出した。
 27日の第5戦では1点のリードで迎えた9回に登板したが、自らの守備の送球ミスから同点にされ、吉田正にサヨナラ本塁打を浴びた。おそらく高津監督は、そういう“負のイメージ”をプレッシャーのかからない場面で登板させて払拭しておきたかったのだろう。だが、その狙いは裏目に出た。先頭の安達にライト前ヒットを打たれ、続く紅林のバントを処理したマクガフの一塁への送球がファウル側へと大きくそれたのだ。一塁に入った山田は止めることができず、サンタナのカバーも遅れて一塁走者の生還を許してしまった。
 打者走者の紅林まで三塁を陥れ、一死から代打・西野にライトへ犠牲フライを打たれ痛恨の2点がスコアボードに刻まれ3点差をつけられてしまった。
 前述の某OBが、この場面の問題点を指摘した。
「あの送球ミスで一塁走者を生還させ、打者走者が三塁まで進んでしまったことが問題。紅林がバントの構えをしているのにライトのサンタナがまったくカバーに備えていなかった。記録に残らないミスである。オリックスは杉本のライトへのタイムリーで1点を奪った6回にも、一塁走者の吉田正が三進するなど走塁の意識づけが高いチーム。スキを見せれば走ってくる。準備という攻防戦で、一歩、ヤクルトが後手に回っていた。それとマクガフのストレートに球威がないのが気になる。2試合続け守備の送球ミスが出てしまったが、イップスになっていたら怖い。オリックスは揺さぶってくるだろうし、よほどの点差がない限りマクガフをクロ―ザーでは使えないだろう。では、代役は誰か?と言われれば、清水くらいしか思い当たらずブルペン陣が繰り上げになるとさらにヤクルトは苦しい」
 ブルペン陣の力の差がオリックスの3連勝を生んだと言っていい。

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