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ヤクルトの村上宗隆が54号、55号を連発。王貞治氏の持つ日本人のシーズン最多本塁打記録に並ぶ(資料写真・黒田史夫)
ヤクルトの村上宗隆が54号、55号を連発。王貞治氏の持つ日本人のシーズン最多本塁打記録に並ぶ(資料写真・黒田史夫)

なぜ村上宗隆は”ゴジラ”以来の50号に到達することができたのか…失投を「打ち損じない」集中力と技術&パワー

 この50号の背景を阪神、中日、広島などでコーチを務めた評論家の高代延博氏は、「コメントの通りに最悪外野フライでもと考えていたので、目付けは外角の甘いボールにあり、それを左中間に運ぶイメージだったのでは。だからカットボールを引っかけることなく、綺麗にコンタクトできた。今年の村上は、基本、外角に目付けをしているケースが多い。ベースから離れて立っているので内角は反応できて、ボール球にも簡単に手を出さない。こうなるとバッテリーは投げる場所がない。そこも量産の理由のひとつかも」と分析した。

 この日、中日バッテリーは「インサイドを意識させる」という村上攻略の鉄則の裏をかき、第1打席から徹底して外角に配球した。1回二死一塁では、外角のストレートでショートゴロに打ち取っていた。  3回の打席も、石橋は、全球外に構えていたが、「村上はバッテリーの狙いを察知していた。そういう対応、適応能力が高い」と高代氏が指摘した。

 スポーツ各紙の報道によると立浪監督は、「勝負どころでの集中力。ミスを見逃してくれない。こっちがミスしたら終わり」と一発で仕留める集中力を称えたという。それだけに失投の可能性の高い変化球ではなく、ストレートを選択すべきだったのでは、とバッテリーに反省を促した。勝負を指示したが「最悪四球でも」と伝えていたという。

 高代氏も「失投を打ち損じない」点に注目した。

「村上に対して失投の甘いボールは1打席に1球あるかないか。それを打ち損じしないから50本の量産が可能になっている。ファウルにしても、三塁方向へのファウルが少なく、すべてのボールにタイミングが合っている。今の動作解析で数値が出るのかどうか知らないが、バットの振りだしからインパクトまでの時間の短さはメジャーリーガーのトップクラス並みではないか。左肘が下がることなく最短距離でバットが出て、しかもヘッドが遅れて出てきてレベルにスイングすることができるから、打てるポイントに幅が出て打ち損じが少ない。打球も飛ぶ。スイングの軌道、打球の角度、方向などを含めると、松井秀喜氏よりも、村上の方がよりホームランバッターらしいのかもしれない」

 残り24試合。打率も.337で2位の中日、大島の.322を上回り、セ・リーグトップの四球数を考えると、2004年の松中信彦氏以来、18年ぶりとなる史上8人目の3冠王もほぼ確実となってきた。だが、ファンの一番の注目は、本塁打数だろう。

 ポイント、ポイントに超えるべき錚々たる記録が待っている。52本で3冠王を3度獲得した落合博満氏(1985年/ロッテ)、元ヤクルトの名将、野村克也氏(1963年/南海)に並び、54本で同じく3冠王を2度獲得の虎の“レジェンド“ランディ・バース氏(1985年/阪神)に並ぶ。そして背番号の55本は、王氏(1964年/巨人)、タフィ・ローズ氏(2001年/近鉄)、アレックス・カブレラ氏(2002年/西武)の3人が作った大記録。その先の60本がバレンティン氏の日本記録である。  ここまでの1試合平均(0.42本)のペースで打つとすれば、ちょうど10本となり机上論では60本に到達することになる。

 

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