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右のサイドハーフで先発出場した相馬が技ありの先制ゴールを奪うも(写真・AP/アフロ)i
右のサイドハーフで先発出場した相馬が技ありの先制ゴールを奪うも(写真・AP/アフロ)i

W杯最終テストでカナダに逆転負けの森保Jは本当に大丈夫なのか…セットプレーの課題と柴崎ー相馬が示した存在感

 こう振り返った柴崎には、代表選出に対して批判も少なくなかった。森保ジャパンでは確固たる結果を残せず、アジア最終予選の途中からは先発を明け渡した。しかし、カナダ戦の後半44分には山根視来(28、川崎)へ縦パスを一閃。山根のシュートは惜しくもポストを直撃したものの、前回ロシア大会をほうふつとさせる、得点チャンスにつながる縦パスが輝きを放った。
「自分が出たらそれができないとちょっと……というか、それが求められていると思いますし、スタメンで出ても途中から出ても得点を生み出すという部分は、もっともっと求めていきたい」
 柴崎のパフォーマンスも収穫に加えていい。対照的に最も得意とするトップ下で先発し、後半40分までプレーした南野は、自身に訪れた最大のチャンスで輝きを放てなかった。
 後半14分。敵陣中央の高い位置で連動してボールを奪取。細かいパスワークから南野が縦へ抜け出し、相手ペナルティーエリア内へドリブルで侵入していった。しかし、放たれたシュートは弱く、相手GKに難なくキャッチされた。南野が「決め切りたかった」と振り返る。
「相手が足を出してくるのが見えていたので、かわそうか、打とうかで迷って最終的には打ったんですけど。ちょっとダフったというか。その後に相手の足が当たってPKかなと思ったんですけど」
 新天地モナコで陥った不調を、依然として引きずっているのか。思い切りのよさが武器でもあった南野だけに、相手ゴールを目の前にした刹那に迷った時点で“らしさ”が戻っていない。
 リザーブだった鎌田大地(26、アイントラハト・フランクフルト)が後半21分、トップ下ではなくボランチで投入された。所属クラブではプレーしているボランチは、森保ジャパンでは初めて。しかし、ボランチのファーストチョイス、遠藤航(29、シュツットガルト)と守田英正(27、スポルティング)が別メニュー調整中だけに、W杯本番でもありうる起用法といっていい。
 その場合にトップ下に入る候補の一人が南野となる。カタール入りした選手のなかでは、最多となる17ゴールをあげている男の復活は、引き続き課題のひとつとしてあげられる。
 試合は後半アディショナルタイムに山根が献上したPKを決められて敗れた。しかし、ともにW杯を控えている両国にとって、結果はそれほど重要ではない。
「まあメディアのみなさんが煽るでしょうから。どうぞ」
 苦笑しながらカナダ戦を振り返った吉田は、やるべきことは変わらないと前を見すえた。
「課題がすごくたくさん出た試合でしたけど、逆に修正しがいがあると思うので」
 試合直後に空路カタールへ戻った日本は、18日を開幕前で唯一のオフにあてる。発熱を訴えていたMF三笘薫(25、ブライトン)も現地時間17日に合流。26人全員が顔をそろえたなかでリフレッシュを図り、23日に待つドイツとの大一番へ臨む。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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