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中日京田(右)と横浜DeNA砂田(左)の1対1トレードが成立した(写真・黒田史夫)
中日京田(右)と横浜DeNA砂田(左)の1対1トレードが成立した(写真・黒田史夫)

京田と砂田電撃トレードの裏…なぜ立浪竜は次から次へと主力放出の大胆補強を仕掛けるのか…その功罪と現役ドラフトとの関連は?

 星野氏は、中日監督時代に、大島康徳、平野謙、中尾孝義らの主力を次々と放出。落合博満を獲得するためにストッパーの牛島和彦まで放出してチームの空気を一新して低迷していたチームを優勝へ導いた。その際、ベテランの環境を変え、もう一花咲かせて欲しいとの親心もあった。
 阪神監督時代も20人以上のリストラを断行。“ダメ虎”を改革した。
 立浪監督は、京田を名古屋へ強制送還させたが、これも星野氏が監督時代に鉄拳制裁と共によく用いた“劇薬”だった。
 現役時代に、その星野氏の手法をそばで見てきた立浪監督は、主力を放出することで起きるファンの反発や、チーム内の混乱など、その“功罪”を十分に理解した上で、今季最下位に沈んだチームを再建するには、星野式の大胆な血の入れ替えが必要だと感じてトレードを断行したのだろう。
 これには、フロントの理解が必要だし、加えて、失敗した場合の責任を負う覚悟がなければ決断できない。若手は勢いに乗ればいいが、壁にぶつかれば伸び悩むし、そのときは経験のあるベテランや中堅の力が必要とされる。新人は未知数だし、期待の石川は、まだリハビリ中。だが、2年目の立浪監督は、そういうリスクを承知の上で勝負をかけたと言える。
 里崎氏は、この立浪監督の決断をこう評価した。
「星野さんが、そのやり方で成功したとはいえ、今回の答えは、正直1年後、2年後の結果でしか判断できないでしょう。優勝につながれば正解だったと言えるし、結果につながらなければ失敗だったという評価になる。イーロン・マスクの経営と同じです。大胆なリストラ策が業績の向上につながれば成功だし、業績が落ちれば失敗なんです」
 またすでに中日の2件を含めて、ここまで6件のトレードが発表されるなど、例年に比べて球界のオフの動きが活発化している。一部では、12月9日に各球団が、出場機会に恵まれない2人の選手をリストアップする「現役ドラフト」が初めて行われるため、「その前にトレードを成立させておいた方が得では?という算段が働いているのではないか」との見方もある。だが、里崎氏は、「現役ドラフト影響説」を否定した。
「現役ドラフトは、ある条件を満たした選手が自動的に各チームから2人リストアップされるわけではなく、各チームが任意に選ぶ2人なんですよ。トレード要員になりえるような選手を出してはきません。となると現役ドラフトの影響で、その前にトレードを成立させておいた方がベストだなんて原理は成立しません。確かにトレードが活発化していますが、現役ドラフトとはまったく無関係だと思います」
 確かに今回の「現役ドラフト」のルールでは、各球団が任意で選手を選ぶことになっており、トレード要員になりえるような選手は出てこない可能性が大。そう考えるとトレードの活発化と「現役ドラフト」の関連性は薄く、“偶然重なった”と考えた方が良さそう。立浪竜のトレードは、これで打ち止めなのか、それとも…。
(文責・RONSPO編集部)

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